村田京子のホームページ – blog

BLOG

国立文楽劇場に文楽「菅原伝授手習鑑」第二部を見に行ってきました。藤原時平の讒言によって大宰府に流された菅原道真の話を脚色したもので、第二部は道真のために働いた三つ子の兄弟(松王丸、梅王丸、桜丸)の悲劇を中心に物語が展開されています。松王丸は時平の舎人、弟二人は道真の舎人と敵味方に別れて喧嘩沙汰となるのが三段目。その兄弟が、父親・四郎九郎の70歳の誕生祝いに集まるものの、親王と道真の養女、苅屋姫の逢瀬を取り持った責任を取って、桜丸が切腹する、というのが「桜丸切腹の段」で、息子の介錯をせざるを得ない父親の悲痛な思いが滲み出ていました。この段は、人間国宝の七世竹本住太夫が担当し、彼の引退公演となりました。満89歳という高齢にも関わらず、張りのある声で(最後はさすがに少し、かすれていましたが)、40分間、素晴らしい義太夫を聞けました。人形遣いの操り方も本当に見事で、手足の細やかな動きは、まるで生きているかのようでした。四段目の「天拝山の段」では、道真が火を吐く場面もあり、迫力満点でした。次の「寺入りの段」「寺子屋の段」では、道真の息子菅秀才を匿う源蔵夫婦が菅秀才の首を差し出すよう命じられて苦悩する場面、さらに身代わりとして我が子・小太郎の首を差し出した松王丸夫婦の嘆きは本当に悲痛なものでした。親子の情を捨てて、主君のためにここまで尽くさなければならなかったのか、という疑問がわくと同時に、時代の不条理さを痛感しました。4時から9時までという5時間にわたる上演でしたが、時間が経つのを忘れるほど、感動的な文楽公演で、満席の客で、ロビーもごった返していました。こうした「大阪の文化」はお金には代えがたい価値を持ち、公的にも助成していくべきだと思いました。

Written on 4月 12th, 2014

桜が満開となったので、散歩がてら近くの川沿いの桜並木をゆっくり歩いて見た後で、徒歩15分の松伯美術館に「上村松園展」を見に行きました。昨日までは4月下旬の陽気でしたが、今日は春の嵐で、雨が突然降ったり、晴れ間が見えたりの少し肌寒い一日でした(桜も、今週末でだいぶ散ってしまいそうです)。上村松園は女性を描いた画家として有名で、《楊貴妃》の気品のある顔立ち、白拍子の《静》など、美しい女性たちとその色鮮やかな着物や帯が繊細な筆づかいで描かれていました。また、狂女や嫉妬に狂った女の能面のような表情が印象に残りました。代表作《序の舞》は、残念ながら実物はなく、下絵のみでした。

 

Written on 4月 4th, 2014

3月28日に、授業公開講座の聴講生の皆さんと、あべのハルカス近くのイタリアレストランでお食事会をしました。総勢20名あまりで、イタリアレストラン「クッチーナ ベッリーノ」で昼食を食べましたが、レストランはヨーロッパのビストロ風のこじんまりした店内で、お料理もおいしかったです(春らしく、春キャベツと桜エビのぺペロンチーノもおいしく、クリスピー生地のピザもゴルゴンゾーラ・チーズの香りがたっぷり!牛ほほ肉のワイン煮込みは人によって好き好きですが、私はおいしかったです:写真左下)。食事の後、少しお茶をし、あべのハルカス美術館の「東大寺展」の切符を頂いたので、有志の方々と展覧会も見てきました。東大寺に伝わる「誕生釈迦仏立像」や、12神将像、重源や鑑真像、快慶作の地蔵菩薩像など、普段は見れない宝物を見ることができました。美術館はハルカスの16階にあり、テラスに出ると、天王寺公園や大阪の町が一望できます。40階の展望台は、長蛇の列ができていました。雲ひとつない快晴で、桜の花も7分咲きとなり、来週末には満開の桜が楽しめそうです。聴講生の皆さんのおかげで、本当に楽しいひと時を過ごすことができました!(幹事の大住さん、ご苦労様でした)

Written on 3月 30th, 2014

3月22日に東京文化会館に、パリ・オペラ座バレエ団の「椿姫」公演に行ってきました。「椿姫」ことマルグリット役はオレリー・デュポン、恋人のアルマン役はエルヴェ・モローで、ショパンの曲を使ったものでした。特に第二幕はピアノ演奏のみでショパンの華麗な音色(「華麗なるワルツ」など)に合わせて時には軽やかに、時には哀調を込めてしっとりと踊るシーンが心に残りました。「雨だれ」や「別れの曲」などおなじみの曲が『椿姫』のシーンにぴったりマッチする形で使われていることに感銘を受け、ピアノコンサートとバレエ公演が重なったような幸福感を味わうことができました。また、劇中劇で「マノン・レスコー」の踊りがあり、マノンとマルグリット、アルマンとデ・グリューの運命が重なることがうまく暗示されていたと思います(特に、マルグリットが死ぬ場面と、マノンが砂漠で死ぬ場面が幻想的な形で重ねられて演じられていました)。オレリー・デュポンのマルグリットは素晴らしく、最後はスタンディング・オベーションで、何度もカーテンコールがなされました。

Written on 3月 24th, 2014

3月22日に東京の森美術館にラファエル前派展を見に行ってきました。イギリスのテート美術館収蔵のラファエル前派の主だった画家たち(ロセッティ、ミレイ、バーン=ジョーンズ、モリスなど)の絵が一堂に会した展覧会で、その中でもやはりロセッティの《プロセルピナ》は、「宿命の女」の妖しい魅力を湛えていました。この絵のモデルは有名なジェーンですが、それに対して《ベアタ・ベアトリクス》はロセッティの恋人のシダルがモデルで、薄幸の女性というイメージが彼女にはつきまとっていました。同じく彼女がモデルとなった、ミレイの《オフィーリア》も、「宿命の女」とは対極にある「男の犠牲となる女」のイメージとなっています。風景画も展示されていましたが、ラファエル前派は、シェークスピアやダンテ、アーサー王伝説、神話など文学を題材とする詩的な雰囲気を漂わしているのが一番の特徴だと改めて思いました。

10時の開館直後に美術館に行きましたが、祭日ということもあって、切符売り場は朝から長蛇の列で、ラファエ