村田京子のホームページ – 研究テーマ

研究テーマ

バルザックの作品に現れる「悪魔との契約」のテーマを取り上げ、もはや「悪魔」という超自然的な存在が信じられなくなった近代社会において、悪魔的存在がどのような形で捉えられているかを探る。1820年~30年代に流行した暗黒小説(ロマン・ノワール)や幻想文学の範疇に属する初期小説『百歳の人』から『あら皮』『和解したメルモス』にいたる「幻想空間」に登場する悪魔的存在を検証した後に、『ゴリオ爺さん』『幻滅』『娼婦盛衰記』に登場する悪魔的人物ヴォートランや、さらに商業小説『セザール・ビロトー』や『従妹ベット』で「悪魔」に喩えられる人物が、「現実空間」の中でどのような理由で「悪魔的」だと認識されたのか、当時の社会的背景を考慮に入れながら分析する。また、バルザックの幻想小説とモーパッサンの幻想小説の共通点および相違点を探る。


ロマン主義文学に現れる「恋するクルチザンヌ」のテーマを、アベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』に遡り、アルクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』、ジョルジュ・サンドの『イジドラ』を通して考察する。また、バルザックの作品(『人間喜劇』)における「危険なクルチザンヌ」像を探り、さらにヴィクトル・ユゴー(『レ・ミゼラブル』など)やウージェーヌ・シュー(『パリの秘密』)の社会小説に現れる娼婦像を、当時の貧しい女性が置かれた社会的状況に即して検証する。


フランス革命前から革命後まで活躍したジャンリス夫人(国王ルイ・フィリップの養育掛)、フランス・フェミニズム運動の先駆けとして有名なジョルジュ・サンド、女性ジャーナリストの先駆け、デルフィーヌ・ド・ジラルダン、労働者階級の連帯を提唱したフロラ・トリスタン、19世紀を代表する女性詩人マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールなど様々な女性職業作家(およびローザ・ボヌールなど女性職業画家)の生涯とその作品をジェンダーの視点から探る。


フランス・ロマン主義文学を代表するバルザック、テオフィル・ゴーチエ、ジョルジュ・サンド、スタール夫人などの作品における絵画の隠喩的な使われ方に対して、特にポルトレ(人物描写)を中心に、ジェンダーの視点から検証する。また、女性作家の描く画家像と、男性作家の画家像との違い、および芸術論の違いを明らかにする。さらに、研究対象を19世紀後半のフランス文学まで広げ、ゾラ、ユイスマンス、ゴンクール兄弟など自然主義作家の作品における絵画との関連を考察する。この3人の小説家はゴーチエ同様、美術批評も多く書き、美術には造詣が深い。とりわけセザンヌ、マネ、モネなど印象派の画家やギュスターヴ・モローのような象徴主義の画家の絵画が彼らの作品にどのような影響を与えたのか(例えばゾラの『ナナ』の娼婦像とマネの《ナナ》との関連など)を検証すると同時に、ロマン主義作家の作品と対比させ、その相違点を探っていく。


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