村田京子のホームページ – マルティーヌ・リード先生の講演会

ポスター奈良女子大に、マルティーヌ・リード リール大学教授の講演sIMG_4152「「異性装」の意味するところ ジョルジュ・サンドとコレットをめぐって」を聞きに行ってきました(ポスター)。あいにくの雨模様でしたが、ジェンダー言語文化学プロジェクトということで、大勢の学生さん、教員の方々が集まってこられ、80名を越す参加者で教室が満杯になるほどでした。リード先生の奈良女子大での講演は2度目で、非常にわかりやすく、面白いお話をされました(写真)。講演の前半は、フランス革命からの服装史を簡単に説明され、服装がいかに社会階級や身分、貧富の差を表すか、ということと、ジェンダー的に見れば、男の服装は動きやすくできているのに対して、女の服は動きが阻害される窮屈なもので、公的空間で自由に動くことができなかったこと、さらに異性装(ズボン)は女性には禁じられていた(カーニヴァルなどを除く)ことを説明されました。後半はジョルジュ・サンド(1804-1876)およびコレット(1873-1954)がなぜ「男装」したのか、その理由を探るものでした。サンドの場合は、実用面(お金が安くすむ)、活動面(自由に公共の場に出入りできる)、「男性作家」と肩を並べる手段、というのが男装の主な理由で、自らの才能が認められてからは、男装をやめたため、男装の時期は短いものでした。コレットはまず、夫のペンネーム(Willy)で『学校のクロディーヌ』を出版しました。さらに夫のプロデュースで自作の作中人物の扮装(女生徒の衣装)をして、先生然としたウィリーの前で跪いているというポートレート写真(ジェンダー構造がよくわかります)を出したりしました。その後、パントマイムの勉強をして女優マチルド・ド・モルニとカップルでそれぞれ男性を演じたり(男装)、その「妻」役を演じたりしてスキャンダルを引き起こしました。そして夫と離婚した後は、「コレット」という名で小説『雌猫』を出版するわけです。彼女の場合、半人半獣の「フォーン」をほぼ裸で演じた写真を残したりしていて、サンドの頃のカリカチュア(Bas-bleuブルーストッキングとしてかなりカリカチュアで揶揄されました)ではなく、写真という媒体によって自らの主張を発信していて、時代の変化が伺えました。

sIMG_4158 sIMG_4161講演の後、質疑応答も活発に行われ、2時間があっという間に過ぎました。その後、近くのフレンチレストラン「ラ・フォルム・ド・エテルニテ」でサンド研究者同士の交流会を行いました。このレストランは大阪で人気を博した後、奈良に移って来ただけあり、繊細な料理を出してくれました。前菜は白身魚のマリネ(カルパッチョ)(写真左)と奈良産レタスのグラタン(ベーコン入り)、メインは鱈、および猪肉sIMG_4155(写真右)を選び、皆でパルタージュ。猪(singlier)はフランスでもジビエ料理で出てきますが、リード先生は初めて食べたそうです。全く臭みがなく、おいしい猪肉でした。デザートはクレーム・ブリュレに栗のアイスクリーム、トリュフ入りと贅沢なデザート。スパークリングワインと赤ワインを料理と一緒に飲み(写真は最初の乾杯の時)、すっかり満足の一日でした。

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