村田京子のホームページ – 市川海老蔵奉納公演と戸畑祇園大山笠

sIMG_3965「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産登録一周年事業として、9月17日に宗像大社辺津宮で市川海老蔵の歌舞伎奉納公演があり、見に行ってきました。宗像大社(写真)は天照大神の娘、三女神を祀った神社(沖ノ島「沖津宮」には田心姫神、大島「中津宮」には湍津姫神、田島(本土)「辺津宮」には市杵島姫神)で、辺津宮には宗像大神ご降臨の地と伝えられる「高宮祭場」があり、ここは全国でも数少ない古式祭場とのこと。

野外での公演なので、雨が心配されましたが、何とか雨も海老蔵降らず、落ち着いて見ることができました。まずは歌舞伎十八番の内『勧進帳』より「延年之舞」(頼朝に追われて、山伏に変装して京から奥州平泉に落ちて行く義経と弁慶が安宅の関で関守・富樫左衛門とのやり取りを終えた後、義経一行が危機を脱した後半の場面で弁慶が披露する舞)では、最後の「見えを切る」場面がやはり、格好良かったです(ここで「成田屋」と声をかけるそうですが、なかなか声は出ません)。次に和太鼓の辻勝さんの「響」(特に最後の大太鼓を威勢よく叩く姿は本当に勇ましかった!)。最後に「蛇柳」。これは、高野山奥の院にあった柳の木で、弘法大師が雄と雌の蛇を法力によって柳に閉じ込めていたのが、雄が逃げ出し、雌を助けるべく現れる、というもので、海老蔵はまず、「丹波の助太郎」として登場し、住職たちの前で次第に心を乱して雄の蛇になって踊ります。柳の木の結界を破ることに成功するや、今度は雌の蛇の精となって、女踊りをします。蛇の精と住職たちとの戦いが繰り広げられ、最後は金剛丸照忠が蛇の怒りを鎮めますが、海老蔵はいつの間にか、金剛丸に早変わりし、勇壮な姿となって現れる、という三役を務めています。ポスターの写真は、金剛丸の姿の海老蔵。大きな竹を振り回し、衣装も派手で、大柄な海老蔵が着ると、すごく大きくみえ、役とぴったり合っていました。最後の鬼気迫る表情で見えを切る海老蔵に、拍手喝采が絶えませんでした。3000名にのぼる観客でごった返し、海老蔵人気が窺えるものでした。

IMG_3984また、幕間にはユネスコ無形文化遺産となっている戸畑祇園大山笠をIMG_3987特別に見ることができました。これは「提灯山」の愛称で親しまれている、200年を越える伝統行事だそうで、毎年7月の3日間に行われ、昼の幟(のぼり)山笠が夜になると提灯山笠に代わるので有名だそうです。幟山笠は、高さ1、8メートル四方の台座に勾欄付きの台をすえ、紅幟、白幟が12本立てられ、台座は武者絵などの図柄を金糸銀糸で刺繍した幕で飾られています(写真左)。それが夜になると、幟だけではなくすべての装飾が取り外され、台上に櫓を組み、12段に309個の提灯を飾るものです。その過程を一部始終見ることができました。特に、一番上に乗る7段の三角柱を提灯の火がついたまま、四方から長い棒で持ちあげて取り付ける作業(写真右)IMG_3988が見ていてハラハラするもので、一旦、バランスを崩して落ちそうになったりしましたが、何とか据え付けに成功、その後は一段ずつつけていく、というもの。10分くらいのあっという間の作業でしたが、間近に見れて、迫力がありました。歌舞伎にお祭りと、両方見れて、何だか得したような気がしました。

 

 

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