村田京子のホームページ – blog

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11月最後の連休に、京都岩倉の実相院に紅葉を見に行ってきました。岩倉までは出町柳駅から叡電に乗っていきましたが、さすが紅葉の季節だけあって、電車は行楽客で満員でした。駅から歩いて15分くらいのところに実相院があります。小さな寺院ですが、皇族や上級貴族出身の僧侶が住職となる門跡寺院で、各室には狩野派の襖絵がめぐらされていました。女院(東山天皇中宮)のお住まいでもあっただけに風格のある佇まいで、現存する数少ない女院御所だそうです。室内から中庭を見た時、紅葉した木が床に映る「床もみじ」(写真左:これは絵葉書)が有名。当日は、この絵葉書ほどはまだ紅葉が進んでおらず、黒光りした床にはぼんやりと赤い色が映っているだけでした。ただ、新緑の頃は緑の木々が、冬には雪景色が床に映るようで、なかなか風情があります。今年は暖かい日が続いたので、紅葉はだいぶ遅れているようですが、晩秋の一日を楽しむことができました(写真右:縁側から臨んだ中庭)。

Written on 11月 24th, 2015

11月3週目木曜日に解禁となったボジョレ・ヌーヴォーを飲みました。今年はリヨン・ボジョレ・ヌーヴォー ワインコンクール受賞歴No.1とされるジョルジュ・デュブッフのハーフボトルを購入しました。ラベル(写真:はがすのを少し失敗して破けてしまいました)がすごく可愛かったので、つい手に取った次第です。なかなか美味でした。チーズのお供はカマンベールとゴルゴンゾーラ。ゴルゴンゾーラは匂いが少しきついですが、パンに練り込んだものの焼き立てを食べると極上の味です。フランスに行くと、ヤギのチーズ(フルム・ダンベール)をつい頼んでしまいます。向うで食べると、少しきつい匂いのチーズも食べれてしまうのは、気候・風土の違いのせいでしょうか。

Written on 11月 24th, 2015

知人が奈良の美術展に作品を出展しているので絵を見に近鉄奈良に出かけました。美術展のついでに久しぶりに奈良公園を散歩。東大寺まで裏道を歩いて紅葉を楽しみました(表は修学旅行生や外国の観光客で一杯!でも少し外れると、あまり人もなくゆっくり自然を楽しめます)。鹿たちも木の下で休憩(写真左)。中には走り回っている小鹿もいました。イチョウの木がすごくきれいで真っ黄色(写真右)。下の土にも黄色の葉が敷き詰められ、雨が降ると足元がすべりそうです。銀杏がつぶれた匂いはかなり強烈でした。 お昼は新大宮の和食の店「川波」で頂きました。このお店は自家製野菜を使用しているとかで、最初にでてきた八寸、すごく色鮮やかできれいでした。今はきのこの季節で、自家製の大きななめこの煮つけが歯ごたえも良く、おいしかったです。ほおずきの中にはヤマモモがはいっているなど、意外感も満載!土瓶蒸しもキノコ尽くしでした。次に出てきたお造りは鯛とカワハギ、カワハギの胆。これも新鮮で器もご主人が作成したものとか(写真右下)。魚はあと一品、さわらの照り焼き(身が締まっていて絶品)。天ぷらも登場し、圧巻は紫芋の天ぷらでどーんと大きい塊が皿に載り、さすがに食べきれませんでした。味噌仕立ての鍋には地鶏の肉。最後のきのこご飯も秋らしい一品でした。

Written on 11月 11th, 2015

東京から友人が来たので、久しぶりに嵐山で一泊しました(「花のいえ」という共済の宿ですが、住倉了以の別荘でなかなか素敵なところです。朝食は寝殿造りの建物で、三方窓でお庭が見渡せるようになっています)。散策コースは渡月橋、天龍寺、竹林の道を通って常寂光院、落柿舎へ。11月とはいえ、日中は暖かく行楽日和で、嵐山は観光客(外国人が多い!)で一杯でした(着物レンタルの店もあり、若い女性たちは着物姿で歩いていました。ただ、浴衣の女の子―恐らく外国人―は少し寒そうでした)。まだ紅葉には少し早かったのですが、天龍寺のお庭をゆっくり眺めることができました(写真左)。紫の花をつける「紫式部」など、草木もいろいろあって、普段は気づかずに通り過ぎてしまう小さな花にも目がいき、やはり少し立ち止まって自然を見る心の余裕が必要だと感じました。竹林の道(写真右)までは人でごった返していましたが、常寂光院(写真下)まで来ると人も少なく、見晴らしはなかなかのものでした。木々が紅葉するとさらに素敵な光景になると思います。お昼はもちろん、湯豆腐に湯葉丼と、豆腐づくしの食事を頂きました。久しぶりにゆっくりできた休日でした。

Written on 11月 7th, 2015

京大で学会があった夜、友人たちと祇園の日本料理店「山玄茶」で懐石料理を食べに行きました。祇園の狭い路地に入ったお店で一見では入れない感じのところ でした。料理は8品、お吸い物は季節がら、松茸と鱧。お造りで面白かったのは、刺身醤油の他に、マスカルポーネ・チーズをポン酢で和えたもの。これが結構おいしかったです!あと、珍しかったのが、もち米の上に穴子が載ったもので、藁で蒸して いました(写真左)ブリの照り焼き、八寸はゴボウの八幡巻きやタラの白子などで、見た目もきれいでした(写真右)。その他にも三筋肉の天ぷら、そして圧巻 はご飯で、店のご主人の出身地の滋賀のお米だそうで、まず一口目は何もかけない状態で食べ、二口目は鯛のでんぶとしらすをかけて食べ、三口目は 卵の黄身とチーズであえたお米のカルボナーレ。どれも絶品でした!デザートは栗きんとんで、上品な味。皆、満腹で大満足の夜を過ごすことができました。

Written on 11月 5th, 2015

業公開講座の聴講生の方々との恒例の食事会に行ってきました。今回は天王寺の「月日亭」での食事会で、総勢22名で楽しいひと時を過ごすことができました。参加者には既に80歳を越えておられる方もいらっしゃって、「なかもず」駅から大学まで15分~20分の道のりを毎回徒歩で通われ、15回の授業に欠かさず出席されているのにはいつも脱帽しています。皆さん、様々な分野に興味を持っておられ、その豊かな好奇心のおかげで若々しく元気に過ごされているのだと思います。私も少しくたびれてきましたが、聴講生の皆さんの活力を少し頂いて、講座を続けていきたいと思います。写真の皆さんの笑顔が眩しいくらいです。今回の幹事さん(人見さん、梅村さん)、ご苦労様でした。

Written on 9月 5th, 2015

京都市美術館で開催されている「ルーヴル美術館展」と同じく同時開催している「ルネ・マグリット展」を見に行ってきました。ルーヴル美術館展はアカデミー絵画でも下位に位置し、絵の大きさも小さいため、あまり注目されてこなかった「風俗画」(庶民の日常生活を描いたもの)にクローズアップしたものでした。「風俗画」と言えば、17世紀オランダ絵画が一番に思い浮かびますが、この展覧会ではそのルーツとして古代エジプト、ギリシア、ローマの壺がプロローグとして展示され、その後、絵画のジャンルの説明として「歴史画」(神話、聖書を題材にしたもの)があり、「労働と日々」として商人や農民などを描いたものが続きました。その中で興味を引いたのが、マセイスの《両替商とその妻》(写真左)。金貸しは重りと硬貨、宝石、真珠の価値を天秤で量っているところで、解説によると「魂の重さ」を喚起させます。妻は時祷書を広げているものの、視線は夫の手先にあり、お金の方に関心が向いている様子。後景の物はそれぞれ象徴的な意味を持っている(消えた蝋燭、果物は原罪の暗示とか)そうです。写実的な描写の中に象徴性(宗教性)が見出せる絵画で、しかも鏡に映り込んだ光景(窓の外の風景および窓の傍らに立つ人物)が素晴らしい!今回の目玉はフェルメールの《天文学者》(写真右)―《地理学者》と対をなす―でしょうが、これは1996年にデン・ハーグでフェルメール作品21作が一堂に会した時、すでに見たのであまり感動はありませんでした。しかしフェルメールの「青」は吸い込まれるような色で改めて感動しました。17世紀のオランダ風俗画に触発されて描いたのが19世紀の画家ドロリングの《台所の情景》(写真中央)で、この当時、オランダ絵画のリヴァイヴァルがフランスで起こり、文学においてもバルザックの作品をはじめとして「私生活」が脚光を浴びるようになるわけです。「アトリエの芸術家」のコーナーではシャルダンの《猿の画家》(モデルを模写するだけの「猿まねの画家」という意味)が皮肉がきいていて面白かったです。

一方、マグリット展ではさすがシュルレアリスムの画家! タイトルと絵の内容が一致せず、しかし哲学的な思惟が感じられる絵画でした。マグリットの場合、幾つかの気に入りのパターン(「青空に白い雲」「山高帽の男性」「きり絵細工のような人間」)を組み合わせた構図が多かったですが、その中で一番印象に残ったのは《ピレネーの城》(写真右下)で、海の上に浮く大きな岩石の上に石の城が乗っているのがシュールでインパクトがありました。

美術鑑賞の後は、八坂神社の境内にあるフレンチレストラン「ランベリー」でランチをとりました。この店は青山にある店(ミシュラン1つ星)の姉妹店だそうで、昨年4月から老舗料亭「中村楼」の一画に新しくできたレストランだそうです。さすが京都祇園の店だけあって、和の食材を洋にうまく活かし、見た目も味も素晴らしいものでした。特に変わっていたのが前菜としてでた「長野県天竜川の清流で育った鮎」(写真左)で、鮎の臓物を抜いてコニャックで洗い、それを焼いたもので、英語新聞(できればル・モンドかフィガロに包んで欲しかったですが)に包んで登場。そのままたで酢のソースにつけて齧る、というもので鮎の食べ方としてとても新鮮でした!メインは「淡路島産スズキのロティ」に大麦のリゾット、「若鶏の炭火焼きと水ナスのマリネ」(写真右)。特に鶏肉はあっさりした胸肉部分を炭火で焼き、クミンとコリアンダーの入ったソースにつけて食べる、というのが実に絶妙な味でした(すごく弾力のある肉でした)。デザートの白桃のコンポートはピンクの可愛い盛り付け。どの料理もバターや生クリームなどを使った、かなりこってりした伝統的なフランス料理ではなく、和のテイストのお腹にやさしい料理でした。京都は相変わらず観光客で賑わっていました。

 

Written on 8月 23rd, 2015

フランス映画「ボヴァリー夫人とパン屋」(アンヌ・フォンテーヌ監督)を「テアトル梅田」で見てきました。映画の主人公は、パリで12年間出版社に勤務した後、ノルマンディーの田舎に戻り、父のパン屋を継いで静かに暮らしていたマルタンで、彼の隣の家にイギリス人夫婦チャーリー・ボヴァリーとジェマが移ってきてからの騒動がマルタンの眼を通して描かれています。英語名のチャーリー(Charlie)は、フランス語名のシャルル(Charles)とほぼ同じ、ジェマ(Gemma)も一字外せばエンマ(Emma)になり、若い美貌の女性でフロベールの『ボヴァリー夫人』の主人公夫婦とぴったり重なり、しかも小説の舞台も同じくノルマンディーで繰り広げられるだけに、小説好きのマルタンとすれば、小説と同じ不倫の物語が展開されるのではないかと興味津津でジェマの動向を観察する筋書きとなっています。さらに初老のマルタンもジェマの官能的な仕草に惹かれており、パン生地を練る場面はエロチックな香りを漂わせていました。彼女を巡る3人の男たち(夫、年下の美青年エルヴェ、昔の恋人パトリック)との絡みは、マルタンから見れば、エンマの恋愛遍歴(ロドリック、レオン)と重なり、エンマが最後に砒素を飲んで死ぬという悲劇が再現されるのではと、マルタンが心配する場面は滑稽であると同時に、見ている私たちにもその不安が伝わってきました。特に印象に残ったのは、映画の後半でジェマがマルタンに向けていう「私はボヴァリー夫人ではない。自分の道を生きていく」というセリフ。それだけに、最後の思いがけない結末には少しあっけに取られました。それとは正反対の結末(ジェマの自立)の方が納得できたのですが。。。ただ、ボヴァリーが去った後の空き家に越してきた隣人がロシア人で「アンナ・カレーニナ」という名前の女性だと息子から聞いた(これは全くのデタラメ)マルタンがまた妄想を膨らませる場面で映画が終わるのは、何ともフランスらしい喜劇と言えるでしょう。名優ファブリス・ルッキーニが知的かつ覗き見趣味(といっても、いやらしくは見えない)男の滑稽さと哀愁を見事に演じていました。

Written on 8月 7th, 2015

同僚が京舞井上流(祇園の芸妓さんや舞妓さんが習い、「都おどり」でも披露される特色のある日本舞踊)の名取で、その同僚の誘いで先日、日本国宝に認定された、五世家元井上八千代さんのお弟子さんたちのおさらい会(「舞さらえ」)に寄せてもらいました。いつも年始年末に芸妓さんたちが井上さんのお宅にあいさつに来る様子がテレビで映りますが、そのお家の舞台で行われるので、今回で3回目とはいえ、格子戸をあける時は期待感でわくわくしながらも緊張します。師匠の八千代さんはいつも舞台に面した畳(絨毯がひいてある)の真ん中に座って、お弟子さんたちの踊りを身振り手振りでなぞらえながら見ておられ、その肩越しに見る姿(写真左)は、手や肩の動きが滑らかで美しく、本当に魅了されます。お弟子さんとしては逆に、師匠を前にして緊張のあまり、間違えるのではないかと恐怖に襲われることでしょう(実際、名取の方々といえども扇子を持つ手が少し震えていました)。毎年、浴衣を新調するそうで、今年は「とんぼ」の図柄でした(帯はそれぞれ自前のものだそうです)。皆さん、さすがに軽やかな足取り、腰でしっかり回る姿がぴったり決まっていて、手の先から足の先まで神経が行き届いていました。同僚の踊りは今年は「きぎす」(雉の意味とか)で、両足を小刻みに動かしながら回るところ、さらに扇の要に指をかけてぐるぐる回す(これは、下手をすると手から離れて飛んで行ってしまう恐れがあるそうです。ちなみに扇は能の人間国宝の方が使ったものとか)、イナバウアーのように背中を反らしてポーズするなど、見どころが満載でした(写真右)。

夜は同僚も含めて友人たちと近くの割烹料理「さか本」で夕食を食べました。最初は小さな器に入った「おかゆ」で暖かいもてなし。どの料理もおいしかったですが(前菜には鰻を胡瓜で巻いたもの、甘鯛のちまき:写真下左)、夏の京都ということでやはり鱧がメインともいえ、「お造り」として、少し火に炙った鱧および「鱧ソーメン」、最後に「鱧寿司」(写真下右)が出ました。小さなお店ですが、窓越しには白川が流れ、お花見の季節にはなかなか予約が取れないそうです。祇園のお店らしく、芸妓さんたちの団扇が飾ってありました。左正面を向いているのが店のご主人(写真下)。炎天下の京都でしたが、おかげで京都らしい一日を過ごすことができました。

Written on 7月 28th, 2015

パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂に、ジョット(1266-1337)のフレスコ画があるというので見に行きました。パドヴァ駅から徒歩10分くらいに大きな公園があり、その一画に礼拝堂およびエレミターニ市立美術館があります。ジョットの絵を見るにあたっては、完全予約制でインターネットで時刻を予約し、その時刻までに美術館に着いて切符に交換する必要があります(1回に入れるのは20人程度)。礼拝堂の前で待機し、時刻が来るとまず小さな部屋に通され、ビデオで10分間説明を聞きます。その後の10分間で礼拝堂を見る、という仕組みになっています。訪れた日は35度を越す暑さでセミがしきりに鳴いていました(紫陽花も咲いていて日本の梅雨と真夏が一緒にきたような気分です)。このフレスコ画は1303年~05年にかけて描かれたもので、さすが、ジョットの「最高傑作」とみなされるに値する素晴らしいものでした。イエス・キリストおよび聖母マリアの生涯が描かれていますが、特にその美しい青が目を引きます(写真左)。「キリストの生涯」の中でヨハネの前に姿を現わす天使(写真右)が印象的(天使の顔や翼は詳細に描かれているのに、胴体の部分がぼやけていて、逆に天使の軽やかな動きが感じられます)。もう一つ印象に残ったのは、やはり「最後の審判」(写真下)で、特に地獄では怪物(映画「スターウォーズ」にでてくるジャバのような怪物)およびドラゴンが人間を食っている場面は衝撃的でした。この「最後の審判」は15世紀のフランドルの画家ヒエロニムス・ボスを彷彿とさせるものでした。案内係が説明してくれるのですが、イタリア語なのでよくわからず、それが残念でしたが、ジョットの絵を堪能できました。

お昼はスタンダールの『パルムの僧院』にも出てくるカフェ・ペドロッキ(1831年創業)―当時、文化人、芸術家が集ったカフェとのこと―でスモークドサーモン・サラダとミントの入ったカプチーノを飲みました。

Written on 7月 7th, 2015

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