村田京子のホームページ – blog

BLOG

3年前に交換留学生として来日して、1年間授業に出てくれたフランス人のセリアさん(写真、中央奥)が、2年ぶりに日本に戻ってきて、挨拶に来てくれました(目下、横浜の日仏学館にインターンで来てsCIMG2419いるそうです)。ちょうど、大学院の授業が終わった後で、院生の皆さんと研究室で記念撮影!皆、とてもいい顔をしています!しかし、フランスではニースでテロがあり、革命祭(7月14日)の夜、花火見物に来ていた市民や旅行者84名が一台のトラックに無差別にはねられて亡くなる、という大事件があった後で、皆、ショックを受けました。パリでの昨年11月のテロといいい、本当に悲惨な事件でこうした事が二度と起こらないことを切に願っています。

Written on 7月 16th, 2016

sポスター大阪市立東洋陶磁美術館に陶磁器作家、宮川香山の没後sねこ100年特別展(ポスター)を見に行ってきました。香山は江戸時代末期に京都の陶工の家に生まれ、仁清の陶磁器の製法を学び、幕府ご用達となります。しかし明治時代になると、彼は意を決して貿易が盛んな横浜に移り、外国向けの陶磁器制作を目指すようになります。そこで彼が生み出したのが「高浮彫」(陶器の表面を彫刻または細工した造形物で装飾する技法)で、鶉・鷹・鳩などの鳥、桜・蓮・葡萄などの植物、猫・猿・熊・鼠・蛙などの動物、扇など、様々なモチーフが壺や花瓶の上で立体的に浮き上がるような仕組みになっています。香山の作品は「眞葛焼」として売り出され、フィラデルフィア万国博覧会(1876)、パリ万国博覧会(1878)でsカニ受賞したことで、海外で絶大な人気を博したそうです。その代表的な作品が「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」(写真右)で、眠っていた猫が目を覚ました時の様子がリアルに表現されています。sトリ猫の口元を良く見ると、小さな白い歯と赤い舌もちゃんとついており、白い毛並みもつやつやしていて、これが陶器とは思えないほどです。また、蟹2匹が重なっている「褐釉高浮彫蟹花瓶」(写真中央)は、何ともリアルで少しグロテスクでもありますが、迫力満点です。「高浮彫」焼は、「高浮彫柿ニ鳩花瓶」(写真右下)のように、花瓶だけでも華やかなのに、さらに立体的な鳩や柿の実がついている、という装飾過多のキッチュな感じがややします。しかし、どうやって窯で焼いたの?と不思議に思うほどで技量がいかに優れているかがわかります。「わび」「さび」を尊ぶsあじさい日本と違い、アメリカやヨーロッパでは手放しで称賛された様子が目に浮かぶようです。香山はさらにいろいろな製法を探求したそうで、磁器の「釉下彩紫陽花図花瓶」(写真左下」の白と紫の紫陽花の花は透明感のある美しさで、光を当てると花びらの部分が透けて見える、というもの。大変美しい花瓶でした! 大成した後でも、さらに新しいものを探求する香山の芸術家魂に脱帽しました。

Written on 7月 12th, 2016

sIMG_2492北浜の大阪市立東洋陶磁美術館に行くついでに、sIMG_2493近くのフレンチレストランでランチを取りました。「レスプリ・ドゥ・クゥー・ドゥ・フランス」(L’esprit de cœur de France)という店で、「フランスの心のエスプリ」(?)という意味でしょうか。落ち着いた店の雰囲気で本格的なフランス料理を頂きました。まず、アミューズ・グールとして鮎のエスカベッシュ、鮎のコンフィのたで酢ゼリーのせ、鮎のリエット、という鮎尽くし(写真左)。特に骨が軟らかくなるよう煮込んだコンフィがおいしかったです!リエットはバルザックの小説によく出てくるトゥール地方名産(鮎ではないですが)で、パンの上に載せて食べます。私が選んだ前菜は鱧を使ったもの(写真右)。ソースはピーマンのグリーン、パプリカの朱色、トマトの白(透明)の3種で見た目も美しく、あっさりとした食感でこれも美味でした。箸休めの一品は焼sIMG_2494きなすのエスプーマ(写真左下)。メインは舌平目のポワレ(写真右下)。sIMG_2495丸く焼いた舌平目にカレーなどエピスリーの入ったソース。付け合わせの野菜はズッキーニ、みょうが、長芋に赤いパプリカと和洋折衷でした。これもなかなか凝った料理でした。デザートは盛り合わせで出してくれました(写真下)。特に、sIMG_2496カスタードプリンが濃厚な味(特別な卵を使っているとか)。それと、ブラマンジュも滑らかな口触りでした。お皿がどれも素晴らしく、リモージュ焼のレイノーというメーカーのものとか。北浜にはあまり来ることがないですが、また機会があれば訪れたいと思っています。

Written on 7月 12th, 2016

sP160709aba01奈良の帝塚山大学の近くに新しくレストランができたので、ランチに行ってきました。以前、富雄駅の前にsP160709aba02エスプーマ料理(亜酸化窒素を使い、あらゆる食材をムースのような泡状にする調理法)で話題になったスペイン料理店「アコール」で働いていた料理人の方が開いた店、ということで、店の名前は「アバロッツ (Abarotz)」(スペインのカタルーニャ地方の方言で「木々のざわめき」という意味だそうです)。15名くらいの客で一杯になるような小さなお店ですが、メニューは非常に凝ったものでした。スペインsP160709aba03料理に特化せず、地元の食材をふんだんに使った創作料理と言えるでしょう。ランチコースメニューのアントレは、「野鹿のカツレツとマスタード風味の蕪 紫蘇のグラニテと葡萄 無農薬サラダ」(写真左)。鹿肉は非常に柔らかく、マスタードと一緒に食べるとジビエ特有の臭みは全くなく、紫蘇のグラニテは色合いも美しく、新鮮な野菜とマッチしていました。次に「三輪の手延べパスタと焼き大和丸ナス 地卵卵黄、アンチョビとオリーブ」(写真右)。三輪そうめんで有名な「山本」にパスタを作ってもらったとかで、非常にコシのあるsP160709aba04パスタでした! くるっと巻いたパスタの下には卵黄、アンチョビがあって、パスタをそれと和えながら食べると濃厚な味に。メインは「丹波地鶏のアサード 椎茸の出汁、蕎麦の実と無花果 熟成酒粕のクネル」(写真左下)。オーブンでかりっと焼いた地鶏は歯ごたえのある肉質で、クネルと一緒に食べると複雑な味に。上に載っているのはじゃがいもと椎茸をパリパリに焼いたもの。デザートは「五條の桃と樫原の農家ミルクのジェラート ローズマリーとグリーンの香りのクリーム」(写真右下)。ジェラートのミルクは非常にコクがあり、舌触りもしっとりしていました。上に載っている白いものは、メレンゲ。オレンジのスポンジケーキのかけらも入っていてデザートにも一工夫が凝らされていました。デザートの後は少し苦めの濃いコーヒー。すっかり満腹、大満足の昼のひと時でした。

Written on 7月 10th, 2016

s無題友人で書家の堤さんの展覧会が大阪の「楓」ギャラリーであったので見に行ってきました(写真左:町屋を改装したギャラリーで小さな庭もあって、なかなか素敵なところでした)。今回の大きな作品は連筆(筆を36本つなげたもの)に墨をつけて白い和紙に一気に走らす、というもので非常にダイナミックな作品となっていました。墨の濃淡が何とも言えない雰囲気を出しています。連作で、「予感」(左と右の線の間に白い空白がある)→「停滞」→「揺らぎ」の後、線が斜めに傾き、バランスが崩れる「動き」、その後、「平衡」(線が水平に戻りますが、左と右の大きさが違い、大小のものが対峙しつつバランスをとっている)となって、もとの「予感」にまた回帰、となっています。フランス語に直すと、pressentiment, stagnation, oscillation, mouvement, équilibreとなり、哲学的な意味を帯びている気がしました(写真右:作品を前にした堤さん)。sIMG_2489その他にも小品として金粉をまぜた筆で月をあらわしsIMG_2490たものや、「目」の甲骨文字を使った作品など。書というより、抽象絵画的な感覚でとらえても面白いと思います(その場合、見る人それぞれの解釈が生まれると思います)。書展を見た後は、堤さんの夫、関谷さんの同僚の方々とビールで乾杯、シャンパンやワインの入ったコップを片手に手作りの料理を頂きました。このところ、梅雨で雨模様のうっとうしい天気が続きましたが、この日は幸い、梅雨の晴れ間で快晴。本格的な夏の到来を思わせる暑い一日でしたが、それにも負けない皆さんの熱気に圧倒されたひと時でした(写真下)。

Written on 7月 3rd, 2016

sIMG_24766月もいつもの和食店「浪漫」に食事に行っsIMG_2478てきました。6月のテーマは鱧と鮎。前菜はすりおろしたとろろ芋を卵の白身のメレンゲで和えたもので、上にはオクラのソースがかかっています(写真左)。非常に口どけのいいものでした。鱧はまず、吸い物の中に登場(写真右)。鱧の骨切りは音を立てずに一定方向に包丁を走らせて切るとか。ゆでる温度は100度ではなく、70度前後に抑えると、食べた時にふわっと溶けるような食感になるそうで、本当に鱧とは思えない柔らかさでした。鱧はもう一品、八寸の中にも登場しましたが、それは炭火で片身を焼いたもの(表はさっと火を通すのみとか)で、こちらはもっちりとした食感に仕上がっていました。八寸にはトウモロコシのジュース(芯をコンソメと茹でて作ったスープにトウモロコシの実を入れてジューサーにかけたもの)もあり、砂糖が全く入っていないのにすっきりとした甘さに仕上がっていました。メインの鮎sIMG_2480は昨年同様、水の中を泳いでいるような鮎(写真下)で、見た目も美しく、頭から尻尾までしっかり食べました。デザートが変わっていて、じゅん菜と青梅のゼリー。いつも一品一品が丁寧に作られ、その時には満腹になっても後でお腹にもたれないのが何よりの特徴です。今回も大満足の食事でした。

Written on 6月 15th, 2016

s河内長野荘府立大の女性教員有志で親睦をかねて河内長野荘に一泊してきました。南海線で難波から約30分の河内長野駅を下車。sIMG_2475商店街の狭い路地(あまりに狭い路地なので、一度目は通り過ぎてしまいました!)を下り、黄金橋を渡って急坂を登りきったところに河内長野荘が建っていました。駅から10分足らずのところ(駅の反対側はビル街)に長野温泉(推古天皇の時代に湧出したと伝えられているとか)があるのは驚きでした。部屋の窓から見た眺めも緑が映えてなかなかのものです! さっそく温泉につかりましたが、透明無臭の温泉で温度はかなり高め。今の時期は露天風呂の方が風にも当たり、気持ちいい感じでした。お風呂で汗を流した後、夕食。鯛のお造りなどを味わいながら、日頃あまり会うことのない、理系(りんくうキャンパスの獣医学、なかもずキャンパスの理学、物理学、生命環境学など)の教員の方々(若手教員はお子さん連れで参加)と研究の話や大学内部の状況、子育ての話など、さまざまな話題で盛り上がりました。夕食の後も部屋で差し入れのポルトワインのグラスを片手におしゃべり。普段はあまり知ることのない理系の研究室の様子がうかがえました。理系では文系と比べて女性教員の数が圧倒的に少なく、もう少し数が増えることを願っています(フランスのようなパリテの制度があればいいのですが)。また、こうした機会を持とうと皆で誓い合って別れました。

Written on 6月 12th, 2016

sIMG_24725月に上京の折に毎年、高校の同窓会を開いてくれ、今年も友人たちとランチを一緒にしました。立派な庭園で有名な「椿山荘」のロビーラウンジ「ル・ジャルダン」(フランス語で「庭園」という意味)でアフタヌーン・ティーを一緒に取りました(写真)。イギリスでアフタヌーン・ティーというと2時か3時くらいからでしょうが、こちらでは昼からやっていて、ランチとして利用できるようです。紅茶はアール・グレイ・インペリアルを頼み、3段の入れ物に置かれた色鮮やかな小さなケーキ、マフィン、サンドイッチをつまみながら、おしゃべり(メニューによれば、「洋梨と桃のタルトタタン」「プチシェリーのジュレ」「チョコボンボン」「バニラとピスターチのガトー」「スコーン、フォアグラとフレンチトーストのミルフィユ」「ポテトとローストポークのサンドウィッチ」「プチブーシェにつめたアボカドとエビのタルタル」「スモークサーモンとクリームチーズのフィールドグリーン」)。さすが、男性には少し物足りないメニューなのか、女性客ばかりで賑わっていました。12時半から3時半まで3時間、介護問題や自分の病気、と年相応の話題で盛り上がった女子会でした(昔は子育ての話だったのですが。。。)。

Written on 5月 31st, 2016

sIMG_2464sIMG_2461フランスで有名なシェフ、アラン・デュカスのビストロ「ブノワ」が東京の青山にあり、友人の誘いで夕食に行ってきました。フレンチにしてはそう高くない、ということもあり、店は満席状態。レストランは建物の10階にあり、広い明るい窓に緑の木が植わっていて、見晴らしもなかなかのものでした。見せ皿はリモージュ焼の金の模様の入った豪華なお皿。前菜、メイン、デザートの3品のディナー・コースを注文。まず、前菜としてはプティ・ポワ(グリンピース)のスープ(写真左)を選びました(春らしい緑が本当に美しい!)。友人が頼んだ前菜は大きなフォワグラ入りのサラダでボリューム満点。メインは鯛のポワレで、立派なグリーンアスパラガス(写真右)が添えられていました。どれもおいしかったです!デザートは小さなチーズケーキ(小さいですがかsIMG_2469なり濃厚なチーズケーキ)にグレープフルーツとアイスクリーム(写真下)。飲み物はシャンパンとバスクのロゼをグラス一杯ずつ。おかげで東京の友人たちとの久しぶりのおしゃべりとおいしい料理を満喫し、楽しい一夜を過ごすことができました。今度はパリの「ブノワ」を訪れるつもりです。

Written on 5月 31st, 2016

カラヴァッジョ1上京したついでに上野の国立西洋美術館(コルビジエの建築で、世界遺産を目指している建物)でカラヴァッジョ展を見に行きました。16世紀イタリアの画家で、その劇的な明暗法によって浮かび上がる人物表現がバロックという新しい美術を生み出したとされる鬼才です。彼は殺人を犯して逃亡を余儀なくされながらも、作品を描き続け、39歳で波乱の人生を終えました。その激しい生きざまは「斬首」のテーマに現れ、今回は彼の《メドゥーサ》が展示されていました。円盤上に描かれたメドゥーサの蛇の髪の毛は見る者に立体感をもって迫ってきているように思えました。また、おなじみの《ヴァッカス》、《果物籠を持つ少年》(左図)は、ふっくらとした顔つきの美少年が描かれ、少年の持つ果物の入った籠はそれ自体が「静物画」と言ってもいいほどです。暗い水に自らを映す《ナルキッソス》など、美少年の絵がカラヴァッジョの特徴でもあるでしょう。また、マグダラのマリア《法悦のマグダラのマリア》(右図)は2014年に発見され、世界初の公開だそうです。この絵の背景左上に茨の冠がついた十字架がライトに照らされて浮かび上がるそうですが、うっかりそれに気づかず、見ることができませんでした。その隣には女性画家アルテミジア・ジェンティレスキの《改悛のマグダラのマリア》があり、官能的な女の肉体が描かれていました。ジェンティレスキはカラヴァッジョ風の激しい絵《ホロフェルネスを殺すユディット》でユディットの「斬首」の場面を描いたので有名ですが、この絵は知りませんでした(一説によれば、カニッチ作ともされているとか)。カラヴァッジョの絵が11点、さらに彼の影響を受けた各国の代表的な継承者(カラヴァジェスキと呼ばれている)―イタリア人のマンフレーディ、フランス人のジョルジュ・ド・ラ・トゥール、オランダ人のヘンドリク・テル・ブリュッヘンなど―の絵が展示されており、どれも暗い背景の中の人物に光が当たる、という構図となっていました。訪れた日は伊勢志摩サミットで世界各国の首脳が来日していた時期にあたり、美術館に入るのに空港並みのチェック(水の入ったペットボトルは回収され、荷物チェック、ボディチェックも)があり大変な警戒でした。。。

Written on 5月 31st, 2016

HOME | PROFILE | 研究活動 | 教育活動 | 講演会・シンポジウム | BLOG | 関連サイト   PAGE TOP

© 2012 村田京子のホームページ All Rights Reserved.
Entries (RSS)

Professor Murata's site