村田京子のホームページ – blog

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桜が満開となったので、散歩がてら近くの川沿いの桜並木をゆっくり歩いて見た後で、徒歩15分の松伯美術館に「上村松園展」を見に行きました。昨日までは4月下旬の陽気でしたが、今日は春の嵐で、雨が突然降ったり、晴れ間が見えたりの少し肌寒い一日でした(桜も、今週末でだいぶ散ってしまいそうです)。上村松園は女性を描いた画家として有名で、《楊貴妃》の気品のある顔立ち、白拍子の《静》など、美しい女性たちとその色鮮やかな着物や帯が繊細な筆づかいで描かれていました。また、狂女や嫉妬に狂った女の能面のような表情が印象に残りました。代表作《序の舞》は、残念ながら実物はなく、下絵のみでした。

 

Written on 4月 4th, 2014

3月28日に、授業公開講座の聴講生の皆さんと、あべのハルカス近くのイタリアレストランでお食事会をしました。総勢20名あまりで、イタリアレストラン「クッチーナ ベッリーノ」で昼食を食べましたが、レストランはヨーロッパのビストロ風のこじんまりした店内で、お料理もおいしかったです(春らしく、春キャベツと桜エビのぺペロンチーノもおいしく、クリスピー生地のピザもゴルゴンゾーラ・チーズの香りがたっぷり!牛ほほ肉のワイン煮込みは人によって好き好きですが、私はおいしかったです:写真左下)。食事の後、少しお茶をし、あべのハルカス美術館の「東大寺展」の切符を頂いたので、有志の方々と展覧会も見てきました。東大寺に伝わる「誕生釈迦仏立像」や、12神将像、重源や鑑真像、快慶作の地蔵菩薩像など、普段は見れない宝物を見ることができました。美術館はハルカスの16階にあり、テラスに出ると、天王寺公園や大阪の町が一望できます。40階の展望台は、長蛇の列ができていました。雲ひとつない快晴で、桜の花も7分咲きとなり、来週末には満開の桜が楽しめそうです。聴講生の皆さんのおかげで、本当に楽しいひと時を過ごすことができました!(幹事の大住さん、ご苦労様でした)

Written on 3月 30th, 2014

3月22日に東京文化会館に、パリ・オペラ座バレエ団の「椿姫」公演に行ってきました。「椿姫」ことマルグリット役はオレリー・デュポン、恋人のアルマン役はエルヴェ・モローで、ショパンの曲を使ったものでした。特に第二幕はピアノ演奏のみでショパンの華麗な音色(「華麗なるワルツ」など)に合わせて時には軽やかに、時には哀調を込めてしっとりと踊るシーンが心に残りました。「雨だれ」や「別れの曲」などおなじみの曲が『椿姫』のシーンにぴったりマッチする形で使われていることに感銘を受け、ピアノコンサートとバレエ公演が重なったような幸福感を味わうことができました。また、劇中劇で「マノン・レスコー」の踊りがあり、マノンとマルグリット、アルマンとデ・グリューの運命が重なることがうまく暗示されていたと思います(特に、マルグリットが死ぬ場面と、マノンが砂漠で死ぬ場面が幻想的な形で重ねられて演じられていました)。オレリー・デュポンのマルグリットは素晴らしく、最後はスタンディング・オベーションで、何度もカーテンコールがなされました。

Written on 3月 24th, 2014

3月22日に東京の森美術館にラファエル前派展を見に行ってきました。イギリスのテート美術館収蔵のラファエル前派の主だった画家たち(ロセッティ、ミレイ、バーン=ジョーンズ、モリスなど)の絵が一堂に会した展覧会で、その中でもやはりロセッティの《プロセルピナ》は、「宿命の女」の妖しい魅力を湛えていました。この絵のモデルは有名なジェーンですが、それに対して《ベアタ・ベアトリクス》はロセッティの恋人のシダルがモデルで、薄幸の女性というイメージが彼女にはつきまとっていました。同じく彼女がモデルとなった、ミレイの《オフィーリア》も、「宿命の女」とは対極にある「男の犠牲となる女」のイメージとなっています。風景画も展示されていましたが、ラファエル前派は、シェークスピアやダンテ、アーサー王伝説、神話など文学を題材とする詩的な雰囲気を漂わしているのが一番の特徴だと改めて思いました。

10時の開館直後に美術館に行きましたが、祭日ということもあって、切符売り場は朝から長蛇の列で、ラファエル前派の人気ぶりがうかがわれました。それにしても、東京は上野の美術館群や六本木ヒルズなど、あちこちに美術館があって、いろいろな展覧会が開かれているのに、大阪まではなかなか来ず、大阪の文化事業の貧困は嘆かわしい限りです。

Written on 3月 24th, 2014

2月23日(日)に滋賀のびわ湖ホールにアメリカン・バレエ・シアターの『マノン』を家族で見に行ってきました。マノンはジュリー・ケント、デ・グリューはロベルト・ボッレの配役でした。幕間が2回で、約3時間の公演。原作のアベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』の内容とは多少違っている(悪役が老貴族GMのみに集中していること、原作にはない高級娼婦の館のパーティーが付け加わっていること、最後に恋人二人がヌーヴェ・ロルレアンの植民地で逃げるところが砂漠から沼地に変更など)のは、仕方ないことでしょう。バレリーナの身の軽さと動きの優雅さには本当に感銘を受けました。マノンの兄役の

エルマン・コルネホも踊りの切れが良かったと思います(ただ、少し背が低いのが残念でしたが)。踊りとしては、デ・グリューの留守の間にマノンの兄の手引きでGMがやってきて、彼女を豪華な贈り物で誘惑する場面で、二人の男性が彼女を持ち上げ、足を取って舞台の端から端まで動かすところ。びわ湖ホールはびわ湖に面したいい所ですが、交通が不便で、17時開演で20時終演だと、夕食をとる店がなくて少し困りました(仕方がないので幕間にサンドイッチを食べて夕食としました)。フランスだと、劇場がはねてからレストランに行くのですが。。。

Written on 3月 4th, 2014

今年3月に卒業する卒論ゼミ生、川人さんと菊田さん、院生の井下さん、フランスからの留学生ボフォさんと5人で、2月21日(金)に「卒業お祝い」の食事会をしました。場所は、難波のクレープリー・アルションで、ガレットの専門店です。さすが、女の子の好きなクレープとガレットの店なので、店のほとんど女性客で、華やいだ雰囲気でした。まず、シードルで乾杯した後、メニューはカリフラワーのポタージュ、前菜(サラダとラタトゥイユのキッシュ)、ガレット・プロヴァンス(生ハム、モッツァレーラ、ラタトゥイユ入り)にデザートはクレープ・モンブラン(クレープ+アイスクリームの上にモンブラン風の飾りつけ)とフルーツティーのアルション・ブルー。どれもおいしく、フランスで食べたガレットを思い出しました。ボフォさんは南仏出身なので、少しなつかしい料理だったかもわかりません。卒論ゼミ生の二人は4月から新たな人生の門出で、社会に出てもがんばってもらいたいものです。

Written on 3月 4th, 2014

2月9日に神戸市立博物館の「ターナー展」に行ってきました。ターナーは18世紀後半からf19世紀前半を生きたイギリスの風景画家で、まず、イギリスの壮大な海の光景を描いています。イタリアに旅した時に描いたローマの光景は、ルネサンスの巨匠ラファエロが絵画の中に描かれる、幻想的な風景となっています(左図:《ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ》)。ターナーは人物像は苦手、というよりもきちんと目鼻立ちが描きこまれていないのもあり、ぼんやりとした塊でしかない、という絵もあって、かえって面白かったです。また、バイロンの小説から題材を取った《チャイルド・ハロルドの巡行》(右下図)には、イタリアの楽園のような美しい自然が描かれています。ターナーの松の木は、夏目漱石の『坊ちゃん』にも言及のある、有名なものです。あと、印象に残ったのは、水浸しのヴェニスの街など、水が多く描かれていること。晩年になると、輪郭のない、混沌とした色のタッチで、印象派の先駆けと言われるゆえんでしょう(左下図:《海に沈む夕陽》)。ターナーは「水と光の画家」と言えると思います。

 

Written on 2月 11th, 2014

1月31日に、名古屋に仕事で行った帰り、名古屋駅から東海道線で2駅のところにある金山駅の近く、ボストン美術館に行ってきました。ちょうど葛飾北斎の浮世絵展を開催中で、ボストン美術館にしかなお北斎が出品され、「初来日も多数」ということでした。おなじみの《富嶽36景》から赤富士や、富士山を背景に、大海原に翻弄される小舟の描かれたダイナミックな《神奈川沖浪裏》もありましたが、その他にも花鳥シリーズがあり、その緻密で精巧なデッサンと色彩の美しさが印象に残りました。さらに屋敷を描いた版画では、西洋の遠近法が使われていて(少し不十分ですが)、北斎が西洋絵画に興味を抱いていたことがわかりました。また、北斎の娘、お栄(画号:応為)の作《三曲合奏図》が眼を引き、楽器に集中する女性たちの表情が生き生きと描かれていました。

葛飾応為《三曲合奏図》

Written on 2月 3rd, 2014

2013年12月21日に家族で金沢に旅行に行きました。21日は金沢市の手前、加賀温泉駅で下車して、金沢在住の友人の推薦の旅館「法師」で一泊。 1300年前の養老2年開湯という老舗旅館で、お庭が素敵なところで、私たちが泊まった部屋は3部屋あり、広々とした部屋でした(写真左は「法師」玄関)。温泉は透明無臭。夕食は 「のど黒懐石」(写真右)ということで、高級魚のど黒(初めて食しました)が出てきました。のど黒は目玉がぎょろっとしていて、少しグロテスクだったのですが、美味で二度びっくり!お造りもおいしく、料理を満喫しました。

翌日22日は、金沢市内の21世紀美術館へ。ドーム状の近代的美術館で、美術館前の広場には、カラフルな迷路状のオブジェがあり、そこに入ると、見る場所によって背景の色が変わる、というもの。中の人物も美術のオブジェに変わり、面白かったです(写真左)。中では「ボーダーライン」というタイトルのコレクションが開催され、身体の内と外の関係、さらに自己と他者、国境、民俗、ジェンダーなどの様々な境界の越境を目指したものでした。もう一つ、柿沼康二の「書の道」展が開かれていて、吹き抜けの高い壁一杯にダイナミックな書が展開されていました。

次に訪れたのは、兼六園で、冷たい雨の中、広い庭園を回りました。すでに、「雪吊り」が松に設置されていました。池に映る木の影がなかなか良かったです。最後に近江市場を訪れました。師走とあって、買い物客でごった返しており、カニが所狭しとあり、圧巻でした!

Written on 1月 12th, 2014

2013年度日本フランス語フランス文学会秋季大会が九州の別府大学で、10月26日、27日の二日にかけて開催されました。26日には、フランスのAix-Marseille大学のBruno Viard教授が « Rousseau, le romantisme … et George Sand » というタイトルで特別講演をされました。ヴィアール先生は、父子二代にわたってフランスの共和派社会主義の思想家・哲学者のピエール・ルルー(Pierre Leroux)を研究され、ロマン主義文学にも造詣が深い方です(昨年、白水社[文庫クセジュ]から、ご著書の翻訳『100語でわかるロマン主義』が出版されました)。今回の講演では、ロマン主義を7つの特徴(信仰心、自然感、現実逃避、自殺願望、情熱的な愛、革命志向、芸術至上主義)で要約し、ルソーとも関連づけながら「高揚 (exaltation)」というキーワードで分析されました。氏によれば、ロマン主義作家たちは、個人/社会、自由/平等、利己主義/利他主義の間で、どちらか一方に傾く二元論であるのに対し、個人主義と社会主義を調和させ、弁証法的な解決を目指したのが、ピエール・ルルーでありました。そして、ルルーの影響を受けたサンドも同じ立場に立ち、彼女の『歌姫コンシュエロ』と『ルードルシュタット伯爵夫人』はまさに、ルルーの『人類について』の小説版であると述べられました。確かにサンドは、1848年の2月革命の時に共和派として政治に積極的に参加するものの、急進的なフェミニズム運動を展開していた『女性の声』紙のメンバーとは一線を画す、という一見矛盾した態度を取っていますが、これで納得がいきました。ヴィアール先生の講演は、非常に明晰でわかりやすく、様々な視点から活発な質疑応答がなされました。

26日の学会の前日の25日に、ヴィアールご夫妻を囲んでの懇親会が開かれ、ヴィアール先生を日本に招聘された中央大学の永見先生と、サンド研究会の有志が参加しました(写真はその時のものです)。会場は別府駅から車で5分の「白菊」別館「浜菊」という料亭で、洗練された料理だけではなく、庭に面した日本式の座敷にも、建築家の奥さまが大変気に入っておられました。ヴィアール先生は9年前の2004年のサンド生誕二百周年を記念する国際シンポジウムの際に来日されて以来、2回目の日本訪問となりました。前回は参加者が多くてあまりお話ができませんでしたが、今回はサンドやバルザックについてじっくりお話ができ、楽しいひと時を過ごすことができました。

Written on 11月 6th, 2013

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