村田京子のホームページ – カラヴァッジョ展

カラヴァッジョ1上京したついでに上野の国立西洋美術館(コルビジエの建築で、世界遺産を目指している建物)でカラヴァッジョ展を見に行きました。16世紀イタリアの画家で、その劇的な明暗法によって浮かび上がる人物表現がバロックという新しい美術を生み出したとされる鬼才です。彼は殺人を犯して逃亡を余儀なくされながらも、作品を描き続け、39歳で波乱の人生を終えました。その激しい生きざまは「斬首」のテーマに現れ、今回は彼の《メドゥーサ》が展示されていました。円盤上に描かれたメドゥーサの蛇の髪の毛は見る者に立体感をもって迫ってきているように思えました。また、おなじみの《ヴァッカス》、《果物籠を持つ少年》(左図)は、ふっくらとした顔つきの美少年が描かれ、少年の持つ果物の入った籠はそれ自体が「静物画」と言ってもいいほどです。暗い水に自らを映す《ナルキッソス》など、美少年の絵がカラヴァッジョの特徴でもあるでしょう。また、マグダラのマリア《法悦のマグダラのマリア》(右図)は2014年に発見され、世界初の公開だそうです。この絵の背景左上に茨の冠がついた十字架がライトに照らされて浮かび上がるそうですが、うっかりそれに気づかず、見ることができませんでした。その隣には女性画家アルテミジア・ジェンティレスキの《改悛のマグダラのマリア》があり、官能的な女の肉体が描かれていました。ジェンティレスキはカラヴァッジョ風の激しい絵《ホロフェルネスを殺すユディット》でユディットの「斬首」の場面を描いたので有名ですが、この絵は知りませんでした(一説によれば、カニッチ作ともされているとか)。カラヴァッジョの絵が11点、さらに彼の影響を受けた各国の代表的な継承者(カラヴァジェスキと呼ばれている)―イタリア人のマンフレーディ、フランス人のジョルジュ・ド・ラ・トゥール、オランダ人のヘンドリク・テル・ブリュッヘンなど―の絵が展示されており、どれも暗い背景の中の人物に光が当たる、という構図となっていました。訪れた日は伊勢志摩サミットで世界各国の首脳が来日していた時期にあたり、美術館に入るのに空港並みのチェック(水の入ったペットボトルは回収され、荷物チェック、ボディチェックも)があり大変な警戒でした。。。

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