村田京子のホームページ – マルチーヌ・リード教授の講演会
講演会
マルティーヌ・リード教授の講演会
開催日: 2014年5月19日~25日
場所 神戸大学ほか
コーディネーター 坂本千代 神戸大学教授
リール第3大学教授のマルティーヌ・リード先生の講演会が下記の日程で開催されます。リード先生は、19世紀フランス文学研究の専門家で、ジョルジュ・サンド、スタンダール、さらに様々な女性作家に関するご著書を出版されています。関心のある方はふるってご参加下さい。

5月19日(月)17:00-18:30  神戸大学での講演会(講演会ポスター) 演題:「Women's Place in French Literature」 場所:神戸大学国際文化学研究科E棟4階410  講演言語:英語、通訳なし




リード先生と、奈良女子大の高岡先生


5月20日(火)14:40-16:30 奈良女子大学での講演会(講演会ポスター) 演題:「Masculin, féminin : George Sand et les femmes auteurs de son temps」(逐次通訳あり) 場所:奈良女子大学総合研究棟(文学系S棟)S124講義室


《報告》今日の講演は、1.ジョルジュ・サンドにおける性別の問題、2.サンドと同時代の女性作家との関係について、非常にわかりやすい言葉でお話して頂きました。1.に関しては、19世紀当時のフランスにおいて、文学活動は男の領域とされていたため、サンドは男のペンネームを使い、「男」として書いたが、現実生活では「女」として生きる、という矛盾したサンド像を浮き彫りにされました。特に、サンドを男の作家と間違えた人との滑稽な会話が喜劇そのものでした。ただ、サンドは当時のジェンダー観から必ずしも解放されておらず、「女性の『本質』は母親になること」と考えたこと、また、他の女性作家たちとの連帯はほとんどなく、サンドはむしろ自らを優れた男性作家に匹敵する「例外的存在」とみなして、彼女たちと一線を画していたことを明らかにされました。こうした点が男性作家にはない、女性作家の問題であると思われます。しかしながら、サンドは現実では実現できない男女平等の精神(教育の平等、登場人物が男女とも両性具有的な性質を持っているなど)や芸術活動における「母性愛」の役割など、ユートピアを描いている、というのが興味深いところです。 講演の後の質疑応答も活発で、終始なごやかな雰囲気の講演会でした。


5月23日(金)18:30ー20:30 日仏会館での講演会 演題:「19世紀に女性が小説を書くということ」(逐次通訳あり) 場所:日仏会館(渋谷区恵比寿)一階ホール


《報告》今回の講演では、「フランス文学史」における「女性作家」のマイナーな位置および、19世紀の女性作家たちが遭遇した様々な障害に関するものでした。その中でも印象に残った点は、ギュスターヴ・ランソンに始まる「フランス文学史」において、女性作家の存在は常に「例外」として語られ、現在でも「フランス文学史」を扱った教科書では、「小説」の項で「ピカレスク小説」「哲学小説」「書簡体小説」などの分類がされている中で、「女性作家の小説」があたかも一つのジャンルであるかのように、まとめられている、ということでした(女性作家も書簡体小説も書けば、ピカレスク小説を書いているのに!)。また、「女性作家」のフランス語での呼称が定まらず、例えばauteur(男性名詞)にe をつけて女性形にしたauteureや、écrivain の女性形écrivaineも、『アカデミー・フランセーズ辞書』では認められず、auteurまたはfemme écrivainのみが辞書に載っているだけ、とのことです。やはり、文学活動は「男」の領域、という 観念が根強く残っているようです。3つ目は、「小説」というジャンルは「感情を描くのに長けた」女性向けという通念に基づいて、小説以外に戯曲など書いている関わらず、ジャンリス夫人やサンドは常に「小説家」としか呼ばれない、といった問題があるようです。歴史の中に埋もれたこうした女性作家たちの作品を出版して現代の読者にも目に触れるようにすることが大事なことだと述べられていました。こうした考えに基づいて、リード先生はフォリオから2ユーロシリーズで様々な女性作家の作品を手ごろな値段で手に入るよう、努力を重ねておられるようです。講演会には、年配の男性の方からフランス文学研究者、女性学研究者、さらには西尾先生の教え子の若い女子学生たちが数多く参加し、約120名にのぼる聴衆で、活発な質疑応答がなされ、大盛況のうちに終わりました。(日仏女性研究学会講演会記録)


5月25日(日)15:15-16:15 仏文学会での講演 演題:「FIGURATIONS DU MASCULIN CHEZ STENDHAL」 場所:お茶の水女子大学 共通講義棟2号館201

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