村田京子のホームページ – ジョルジュ・サンド国際シンポジウム
ジョルジュ・サンド国際シンポジウム
Écrire l’idéal : la recherche de George Sand
19e Colloque international George Sand organisé par le Centre de Recherche sur l’Imaginaire avec le soutien de la George Sand Association
開催日: 2013年6月20日~22日
場所 ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)
コーディネーター Damien Zanone
【報告】ベルギーのルーヴァン・カトリック大学でジョルジュ・サンドの国際学会が6月20日から22日まで3日間にわたって開催されました。この大学はベルギーでもフランス語圏の大学(もう一つ、フランドル語圏の同名の大学があります)でブリュッセルから電車で1時間のところにあるLouvain-la-Neuveという駅を降りてすぐの所にあり、町自体が大学都市で、若い学生たちで溢れかえっていました。

今回のシンポジウムは、発表者総勢54名にのぼる大きなもので、フランスやベルギーのサンド研究者の他にもプエルトリコ、カナダ、スコットランド、ロシア、アメリカ本土、ハワイ、ポーランド、チュニジア共和国など世界各国の研究者が一堂に会し、私たち日本人研究者も4人参加しました。今回のシンポジウムはサンドがしばしば「理想主義者(idéaliste)」とみなされてきたのを受けて、「理想 (idéal)」をキーワードにしたもので、バルザックを代表とするレアリスム(réalisme)との対比、歴史、ジェンダー、社会、政治、音楽や演劇、舞踊、絵画といった様々な側面からのサンドの理想主義または理想像を探るものや、愛や結婚・老い、野心といった精神生活における理想、プラトンやライプニッツなどサンドが影響を受けた哲学者の思想との関連、フロベールやゲーテ、プルーストなど作家たちとの関連など多岐にわたり、取り上げる作品もサンドの小説、戯曲、コント(『祖母の物語』)、自伝とヴァラエティに富んだものでした。特に2日目は9時から11時まで4名、11時半から3名、昼食をはさんで14時半から16時半まで4名、17時から19時まで4名が発表し、それぞれの発表の後には活発な質疑応答、意見の交換が行われ、時間をオーバーするほどで充実した時間を過ごすとともに、最後は集中力の限界との戦いとなりました。

私の発表は最終日の最終セアンス「絵画」での発表で、サンドの『ピクトルデュの城』に登場するディアーヌを通してサンドにおける女性画家の理想像(神話のディアーヌ=アルテミスと深く結びつき、maternitéに導かれた「理想」の探求)を探りました。ちょうど、私の前の発表者Véronique Bui氏がサンドとドラクロワとの実生活における関連(特にドラクロワがノアンで描いた《聖母の教育》)について話をした後だったので、ドラクロワの芸術論を反映した理想の女性画家ディアーヌという私の発表が、うまく結びつきました。さらに私が話した、真の芸術家に宿る「聖なる火 (feu sacré)」を持った『モザイク師』の登場人物の分析を次の発表者Lara Popic氏が行うという、偶然にも3人がぴったり連結した発表となったため、司会者や会場からも「よくまとまった発表であった」というお褒めの言葉を頂きました。時差のために睡眠不足で臨んだシンポジウムでしたが、非常に有意義な3日間でした。

Colloque G. Sand et l'idéal - Programme

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