先日、中之島公会堂でのフランス文化講座の帰りに、中之島美術館で開催中のテート美術館展(ポスター)に行ってきました。テート美術館と言えば、ラファエル前派の絵で有名ですが、今回はラファエル前派はバーン=ジョーンズの《愛と巡礼者》のみで、「光」をテーマにした作品を集めたものとなっています。まずは、「光の画家」ターナーの《光と色彩(ゲーテの理論)―大洪水の翌朝―創世記を書くモーセ》(右写真)。モーセの杖が真ん中に見え、モーセが上方にいるのがわかります。人々の顔が下方に見え、光(または水)の渦の中に巻き込まれるようなダイナミックさが感じられました。次に、ポスターにあるジョン・ブレットの《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》。光を反射した水面、画面の枠一杯に広がる水平線が自然の大きさを反映しているようでした。さらに天から射しているような光線は、神秘的な印象も与えます。一方、ゲルハルト・リヒターの《アブストラクト・ペインティング》(左写真)は、ぼやけてはっきりしないために見る者に様々なイメージ(雨で濡れた道を行きかう人や車、または水に映る木々の影など)を連想させます。また、オラファー・エリアソンの《星くずの素粒子》(右写真)では、半透明ガラスの球体がゆっくり回転しながら光を乱反射していて、壁に映る大きな影は地球のようにも、宇宙にも見え、壮大な空間が浮かび上がっていました。他にもブレイクやホイッスラー、モネ、カンディスキーなどの絵画や光のインスタレーションが展示されていて、「光」に特化した本展は、普通の絵画展より実験的な展覧会だと思いました。