村田京子のホームページ – 奈良日仏協会「秋の教養講座2023」

牛先日、奈良日仏協会主催の「秋の教養講座」に参加しました。今年のポスターゲストは赤木睦代さんで、中学校で美術教師を続けながら、50年にわたり牛の絵(左写真)を描いてこられ、日本各地(熊野本宮大社や上賀茂神社など)だけではなく、海外でも個展を開催され、来年はスペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラ(有名な巡礼の地)でも個展を開催される予定です(右はその個展のポスター)。赤木氏は田辺市出身で、熊野古道を何度も訪れたそうで、ポスターにあるように熊野古道の神秘的な自然を描いておられます。しかし、何といってもダイナミックな牛の絵が特徴で、吉野杉の板に等身大の逞しい牛(ホルスタインではなく和牛)の面構えが何とも言えません。牛の顔の太い黒い輪郭が赤十牛図地に浮かび上がり、生命力の豊かさが感じられます。鑑賞者は、睨みつけるような牛の眼に正面から対峙し、恐らく眼を離すことができないのでは、と思わせます。残念ながら、絵があまりに大きすぎて、今回の講座では写真を見るのみでしたが、それでもその迫力がわかりました。また、禅の悟りの道筋を描いた「十牛図」(左写真)は、「俗世間の生活の中で自分を見失い、本当の自分を探しに旅に出る若者の話」だそうで、「牛」は「本当の自分」の象徴とか。「十牛図」は実物の絵を見せて頂きましたが、その精巧な描写に感動しました。学生時代に文部省からの派遣でフランスの名門、パリ国立美術学校で一年留学、マティスの弟子であった先生のもとで絵画修行をしたそうです。勤め先の中学でも生徒たちとワークショップをしたり、教師としても活躍されたようです(今は定年退職されていますが、若い頃は学校が荒れて大変だったそうです)。

s-IMG_5814興味深いお話の後、赤木さんを囲んでレストラン「ア・ヴォートル・サンテ」でランチをご一緒しました(右写s-IMG_5809真は赤木氏)。このレストランはフランス料理で有名な店で、メインの甘鯛のポワレも絶品でしたが、特に前菜(左写真:蟹の身が入ったアボガト)が見た目にもきれいでした。さらにデザートはまず3種類、小さな器に出てきて、その後また、大きな皿に一品(赤木氏の前の皿)でてくる、というもの。店の内装も明るい南仏を思わせるもので、楽しい話においしい料理と、充実した一日を過ごすことができました。

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