村田京子のホームページ – 第三期「フランス文化を学ぶ会」
第三期「フランス文化を学ぶ会」
バルザック『あら皮』を読む(2)
開催日: 2023年10月11日(水)より
場所 中之島公会堂
コーディネーター 武市福之、南千恵子
第三期「フランス文化を学ぶ会」では、第二期の会で最後まで読めなかったバルザックの『あら皮』を引き続き、読んでいきます。『あら皮』(1831)[左写真は『あら皮』の映画の一部]は、バルザックが「バルザック」という名のもとで書いた2番目の作品(一番目が『ふくろう党』)で、フランス革命、ナポレオン帝政、王政復古を経て1830年の7月革命が起こった直後に執筆され、当時のフランス社会で行き場をなくした青年たちの屈折した心境が赤裸々に描かれていると同時に、バルザックの人生哲学が色濃く刻まれた作品となっています。この小説に因んで、« se rétrécir [diminuer] comme une peau de chagrin »(あら皮のように縮む⇒徐々に減ってついにはすっかりなくなる)という表現が現在でも良く使われています。第二期から少し時間が経っているので、これまで読んできた部分も復習しながら、じっくりと読んでいきたいと思います。

日時:10月11日、11月1日/8日/29日、12月13日/20日、1月10日/24日、3月13日/27日

毎回水曜日、10時20分~11時50分(10回、会費 7000円)

《報告》10月11日:今年は5月から7月まで大阪公立大学の公開講座を開催したため、「フランス文化を学ぶ会」は半年ぶりの開催となりました。公開講座に参加された4名の方々が新たに加わり、総勢25名となりました。10月の初めまで夏の暑さが続きましたが、このところ急に寒くなり、秋がなくなって冬が来たような感覚です。ただ、初回当日は、秋晴れの気持ちの良い天気に恵まれました。新しく加わられた方がいらっしゃるので、今回は「復習」ということで、バルザックの『人間喜劇』の構造や19世紀当時のフランス社会について、さらに『あら皮』が「幻想文学」のジャンルに入ることから「幻想文学」についてのお話をしました。会が終わった後では、参加者の皆さまと昼食を取りながら、私のフランス滞在の話や近況報告などで盛り上がりました。久しぶりに皆さまのお元気な顔が見られて、楽しいひと時でした。

3月27日:10回にわたる『あら皮』の読書会、無事に最後まで読了することができました。最終回ということで、「あら皮」が何を意味するのか、リアリスティックな分析(肺結核で死ぬ主人公の肺細胞の象徴)や幻想文学的側面(神秘的、哲学的要素)の分析など、これまでの研究者たちの様々な解釈を紹介しました。とりわけ、ヘイワードの「あら皮=魔法の鏡」という解釈(鏡に映った自分の顔の皮膚―年を取るにつれて皺がよって皮膚が縮んでいく―の象徴)は、皆さん、頷きながら聞いておられました。最後まで熱心に聞いて下さった皆様には感謝の念で一杯です。また、9月の再会(バルザックの『ラ・ラブイユーズ』を読む予定)を楽しみにしています。

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