村田京子のホームページ – 「エドモン」(パレ=ロワイヤル劇場)

パリ出発の前夜は、コメディー・フランセーズ近くのパレ=ロワイヤル劇場にお芝居を見に行きました。パレ=ロワイヤルは17世紀のルイ13s-IMG_1410s-IMG_1414s-IMG_1418世時代にリシュリュー枢機卿の屋敷がここにあり、芝居好きのリシュリューがそこに劇場を建てたそうです。リシュリューの死後、彼の屋敷はルイ14世に譲られ、パレ=ロワイヤル(王宮)となります。モリエールの芝居が舞台に上がったのも、この劇場(現在は消滅)でありました。さらにルイ14世がヴェルサイユ宮殿に移ると、弟のオルレアン公が屋敷を譲り受けました(フランス革命が起こるまでオルレアン家が所有)。1784年にIMG_0001パレ=ロワイヤル劇場が新たに建てられましたが、この劇場はオデオン劇場(1782年建立)に次いで最も古い劇場とか。時代を経るにつれ、何度か改装を重ね、現在に至るそうです。したがって、小ぶりな劇場ですが、IMG_0002非常に趣のある豪華な内装(写真、左から入口、2階部分、客席の上の天井)には目をみはりました。こうしたクラシックな劇場で、アレクシ・ミシャリ演出の「エドモン」(パンフレット)を見ました。この芝居は5つのモリエール賞を獲得し、フランス各地を回るロングランとなっています。主人公は『シラノ・ド・ベルジュラック』の作者、エドモン・ロスタンで、彼がこの戯曲を書き上げるまでの苦悩や、妻との葛藤、インスピレーションを得た若い女性ジャンヌとの関係(親友で女好きの俳優が惚れ込んだ娘で、友人に代わってエドモンが彼女に恋文を書く。それがシラノの粗筋に組み込まれていく、というもの)などが喜劇タッチで描かれています。オッフェンs-IMG_1424s-IMG_1425バックのフレンチ・カンカン(左上写真)や、当時の有名女優サラ・ベルナールや売れっ子劇作家フェドーなども登場(「ボレロ」を作曲した音楽家のモーリス・ラベルも登場)し、19世紀末のパリの雰囲気を伝える要素がふんだんに盛り込まれていました。劇中劇で、『シラノ』の一部も上演されました。主役のガル・ガスパールは気の弱いエドモン役がぴったりで、観客も彼と一緒にはらはらどきどき、気持ちを一つにしていました。それぞれのセリフがユーモラスに満ちていて、観客席のあちこちで爆笑が起こっていました。特に面白かったのは、幕が開く前から舞台には役者たちがいて、それぞれ準備体操をしたり、発声練習をしていること(写真)。フィナーレの後、俳優たちは何度も満員の観客に呼び戻され(写真)、私にとっても、フランス最後の夜を楽しく過ごすことができました。

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