村田京子のホームページ – フランスの現代アート

s-IMG_5404①フランス滞在中、現代アートはよくわからないと言いながらも、現代アート作品を展示した美術館をたくさん訪れました。パリのBourse de Crommerceの後、南仏のトゥーロンでは、美大に務める友人のs-IMG_5426元教え子で、10年前からフランスに滞在して画家としての才能を発揮している古市さんの作品を見に行きました。彼女はトゥーロンの町の高台にあるJardin remarquable de Baudevinという所(様々な野菜や植物が植えられている庭園の広がる地所)にある小さなシャペルの内壁の絵を任され(定期的に様々な画家が絵を描いているとか)、一か月で壁画を描いた(左写真)そうで、描かれている花々は庭園の花、ところどs-IMG_5436ころに人間の手やシルエットも織り込まれている、というもの。のびのびとしたダイナミックな絵で、少しアンリ・ルソーの絵を彷彿とさせさました。古市さんは、市内の壁にも絵(右写真)を描き、ワークショップも任されていました(写真は受付の古市さん)。私たちもフランス人に混じってワークショップ(画用紙に水をつけた刷毛をつけ、そこにスポイントで色絵具を垂らして模様を作っていくというもの)に参加しました。日本から来た留学生のうち、女性の方がフランスで才能を発揮する人が比較的多く、日本と違ってしがらみのない環境が女性にとってポジティブな生き方ができるのではないかと思います。

IMG_0001②「ヴィラ・カルミニャック」:次にトゥーロンから船で1時間の所にある島の頂上に位置するVilla Carmignacを訪れました。Inner Island(「内なる島」:パンフレット参照)というタイトルの特別展が開かれていて(鑑賞者は靴を脱いで見て回ります)、まず、風景描写や人体、人体における風景から始まり、夢に出てくるような光景など様々な絵や彫像が展示されていましたs-IMG_5513(右写真)。とりわIMG_0002け水にまつわる展示作品が多く見られました(左写真)。また、広大な庭園にはあちこちにオブジェ(写真)s-IMG_5538がおかれ、鏡の迷路s-IMG_5534(写真)もありました。島にはヨットやボートが多く見られ、海水浴客でも賑わっていました。

IMG_0001③リュマ美術館:アルルのLumaは、建築家のフランク・ゲーリーが設計した奇抜な塔のある美術館(パンフレッs-IMG_4805ト参照)で、様々な現代アートが展示されています。入り口に入ってまず驚くのが巨大な滑り台(左写真)で、私たちも滑ることができ、さっそく試してみました。上体を少し上げるとそれほどスピードも出ず、ゆっくりパイプ内を降りていくので快適でした。s-IMG_5564その他にもLaguna Gloria(右写真)という展示物は、映画(Margin Time 2 : The Heavenly Lagoon)から生まれたものとか。また、自然の風景などが映し出される部屋では、鑑賞者の座っているソファ自体が回り出し、窓のシャッターが上げ下げしたり、会場のIMG_0003あちこちに映像が映し出されるものでした。20世紀の白黒写真が展示されているコーナー(左写真)では、その展示の仕方自体がアートになっていました。s-IMG_5585せっかくアルルに来たので、ゴッホの《夜のカフェテラス》に描かれたフォーロム広場のカフェに行ってみましたが、残念ながら閉まっていました。その近くのエスパス・ヴァン・ゴッホはゴッホが収容された精神病院のあるところで、その中庭のカフェで「ヴァン・ゴッホ・サラダ」(写真:南仏特有の大きなマッシュルームと生ハム、ヤギのチーズの入ったサラダ)を食べました。結構、量が多くてお腹一杯になりました。

©-Niki-de-Saint-Phalle-Niki-Charitable-Art-Foundation-2014④ニース近代・現代美術館:ニース滞在中にこの美術館も訪れました。ニース出身のイヴ・クラインやフランスのヌーヴォ・レアリスムの作品が多く展示されていましたが、何といってもニキ・ド・サンファルの作品に圧倒されました。ニキは《射撃》(左写真)の持つ攻撃性で有名(IMG_0001すごく恰好いい女性!)ですが、一方で女の豊かな肉体の美しさを賛美し、その逞しさが溢れ出る作品(右写真)を次々に発表しています。その躍動感は見ている者にも心s-IMG_5651躍るような感覚を与え、男の眼を通した美しさよりも、女性自らの美しさを探求した芸術家と言えるでしょう。それとは逆に、《木の下の花嫁》(左写真)は、生気なく横たわる白い花嫁と、生命力の溢れる木がコンs-IMG_5657トラストを成しています。また、美術館には屋上庭園(右写真)もあって、建物の屋根全体をぐるっと回ることができ、ニース旧市街の眺めが楽しめました。

s-IMG_5767⑤セシルさんのアトリエ:最後に、パリでは友人の同僚の芸術家セシルさんのアトリエを訪れました。セシルさんは長年、言葉(mot)や文字(lettre)に興味を持ち、辞書や新聞をシュレッダーにかけて、それを形に変えた作品を作っているそうです。s-IMG_5768Voie lettréeと題された作品(左写真)では、碁盤目状のしきりの中に詰まっているのは、辞書などのページを破った紙を小石状のものに包んだものです。一見、石(右写真)に見える作品も、シュレッダーにかけた辞書のページをくっつけたものとなっs-IMG_5774ています(左写真の右側の女性:来場者に説明するセシルさん)。こうした小さなアトリエが建物内に30近くあり、若い芸術家たちや、芸術に関心のある人、近所の人がふらっと入ってきて説明を聞いていました。身近に芸術に触れられる環境は日本にはあまりなく、羨ましい限りです。

以上のように、今回のフランス旅は、様々な美術作品を見て回る旅となりました。

HOME | PROFILE | 研究活動 | 教育活動 | 講演会・シンポジウム | BLOG | 関連サイト   PAGE TOP

© 2012 村田京子のホームページ All Rights Reserved.
Entries (RSS)

Professor Murata's site