村田京子のホームページ – モード美術館

IMG_0002パリでは、来年のオリンピック開催に向けての工事があちこちでなされていましたが、美術館でもオリンピックにちなんだ特別展が開かれていました。まず、ガリエラ・モード美術館では La Mode en mouvementというタイトル(パンフレット)で、18世紀のアンシャン・レジームの時代から現在IMG_0001に至るまでのスポーツウェアが展示されていました。右写真の左上が1928年から32年頃の水着、右上が1900年頃のサイクリング用の服(半ズボンは、ブルマーとも言われていた)で、当時は女性がズボンを穿くことに強い抵抗感があったため、こうした格好でサイクリングを楽しむ女性は石を投げられたそうです。左下はクーレージュのコンビネゾン(シャツとズボンがつながったつなぎ;1967-68)、右下はヤマモトヨウジのアンサンブル(ジャケットとズボン:2001-02)。どれも女性のスポーツウェアですが、昔の服はコルセットをつけていたりして、少し動きにくそうでした。

IMG_0003次に装飾芸術美術館でも、Mode et Sportというタイトル(パンフレット)で、スポーツウェアが展示されていました(右写真:特にオリンピックにまつわるスポーツウェア)。ここでは、古代ギリシアに遡るスポーツ競技から現在に至るまでのスポーツ、スポーツウェアがs-IMG_5761紹介されていました。面白かったのは、テニスの原型とみなされるJeu de paumeの変遷(最初はボールを手で打っていたのが、グローブのようなものに代わり、次第にラケットに変わっていく)の様子IMG_0004がよくわかったこと(さらに『クレーヴの奥方』の映画の中で、ジュー・ド・ポームをしているシーンが映し出されている)でした。また、20世紀初頭のポール・ポワレのテニスウエア(左絵)や、同時期の水着(右写真)は、IMG_0005ちょうどプルーストの小説に出てきそうな可愛い服装でした。ただ、テニスウェアはポワレのは別にして、白いシャツにスカート姿で、どう見ても動きにくそうでした。19世紀におなじみの乗馬服(アマゾン)もあり、女性は馬に横座りの形で乗っていました。スポーツウェアには、オートクチュールのポール・ポワレやシャネルから始まり、ピエール・バルマンやディオール、ゴルチエ、ヤマモトヨウジ、ミヤケイッセイなどの名も見られました。さらに現在では、スポーツウェアは日常着ともなって、ユニセックスなデザインが増えてきました。二つの美術館で、その変遷を見られて非常に面白いエクスポジションでした。

ガリエラ美術館に行ったついでに、その近くにあるイヴ・サンローラン美術館にも寄りました。IMG_0006s-IMG_5340が手掛けたドレスやアクセサリー、デッサンのほか、彼の仕事場のアトリエ(左写真)が再現されていました。サンローランと言えば、パンツルックと画家のモンドリアンの絵を模したモンドリアン・コレクション、肩を強調し、女性のパワーを感じさせるかっちりとした服(右写真)が思い出されます。また、彼自身のヌード写真がセンセーションを引き起こし、有色人種のモデルを最初に起用したのも彼で、自らがホモセクシュアルであることを公言し、今でいうLGBTQの先駆けでもあったと言えます。色鮮やかな彼の服は大好きで、1980年代の華やかな時期を思い出させてくれます。

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