村田京子のホームページ – 「ショパン――200年の肖像」展とポロネーズ

ショパン美術展ポロネーズ日本とポーランド国交樹立100周年を祝って、「ショパン―200年の肖像」展(左ポスター)が兵庫県立美術館で開催されているばかりか、ショパンにちなんだコンサートや催し物が約10件、9月から11月にかけて神戸で行われています。ショパンはジョルジュ・サンドとおよそ9年間、恋人として一緒に暮らし、その間に「雨だれ」や「子犬のワルツ」など有名な曲を作ったことで知られています。サンド研究者としては是非見ておかねばと思い、ショパン展を見た後、「ショパンの《ポロネーズ》とそのリズムの源泉」(右ポスター)というポロネーズの舞踊も含む、レクチャーコンサートにも行ってきました。まず、「ショパン展」は、20年間彼が住んだワルシャワの歴史的・文化的背景を辿るコーナーから始まり、当時のポーランドの風景や彼を取り巻く人々ショパンの肖像の肖像画などが展示されていました。ちょうど、音楽ホールではピアニストがショパンの「雨だれ」を弾いていて、ショパンのピアノのsDSC_0332音色を聞きながらの絵画鑑賞となりました。次に、1830年のパリでの7月革命の後、ポーランドでも独立運動が起こり、ショパンがパリに亡命してきた時代の紹介がありました。ロマン主義の画家アリ・シェフェールが描いた有名なショパンの肖像画(左図)が本邦初公開ということで、展覧会の目玉となっていました。病弱なショパンの蒼白い顔に神経質な口元など、ロマン主義的なショパンの姿が写し出されています。その他にもショパンの手になる楽譜や手紙、そしてショパン国際ピアノコンクールの出場者たちの紹介や、音楽漫画『ピアノの森』の原画も展示されていました。あと、面白かったのは、ショパンの曲からイメージして描いた画家たちのデッサン。ショパンやリストのピアノ演奏を生で聴くことができたサンドの時代の人たちを羨ましく思いました(写真は、パリでの著名なピアニストたちのリトグラフを背景にしたもの)。

ポ‐ランド風衣装美術展の後、三宮に出てJR神戸駅から徒歩10分の松方ホールへ。ホールの4階の窓からは、台風一過の快晴の空のもと、海沿いで休日を楽しむ人々が見えました。ポロネーズは、フランス語の「ポーランド風」という意味ですが、マズルカと並んでポーランドが起源の舞踊です。レクチャ―および舞踊担当の浜中康子さんの解説によれば、ポロネーズの特徴は4分の3Jan_Kazimierz_by_Daniel_Schultz拍子のゆったりした曲調で、最後は弱拍で終わる(女性終止)のが特徴とか。もともとはポーランドの民俗舞踊だったのが、ヨーロッパ各地の宮廷に取りいれられ、フランス宮廷からポロネーズの名が広まったそうです。衣装としては、女性はお尻の部分に詰め物を入れて膨らませた衣装ポロネーズ(左図)―これは、18世紀フランスで流行しました―、男性の衣装はポーランドの貴族(シュラフタ)が着た少しトルコ風の色鮮やかな衣装(右図は少し古いですが、17世紀の絵画で、ポーランド様式の服装をした国王(ヤン2世)の肖像画)にカイゼル髯が特徴的で、踊る前に必ず髯を空中に伸ばす動作をするそうです。ポロネーズ舞踊は、ウィンナーワルツのように男女二人が手を取って踊るというより、それぞれが複雑な足さばきで対面で踊る形式。ショパンの曲としては、『英雄ポロネーズ』『軍隊ポロネーズ』が有名ですが、コンサートでは彼が7歳の時に作ったとされるポロネーズのピアノ演奏がありました(さすが、天才だけあります!7歳の時の曲もピアノはショパンらしい装飾音の多い華麗な曲でした)。また、「序奏と華麗なるポロネーズ」はチェロが主体となる曲で、チェロの音色が響き渡る大変美しい曲でした。ピアノ、ヴァイオリン、チェロの演奏に華やかな舞踊、といろいろ楽しむことができました。子ども連れの観客も結構いましたが、子どもたちも皆、熱心に演奏を聞いていました。ショパンの他にもラモ―の「メヌエット」、リュリの曲やスペインのエグゾティスム溢れる曲(カスタネットを手につけての踊り)などが披露され、楽しい一日となりました。

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