村田京子のホームページ – フェルメール展

取り持ち女手紙を書く女先日、天王寺の大阪市立美術館に「フェルメール展」を見に行ってきました。今回はフェルメールの6作品がきました。まず、初期の頃の宗教画《マルタとマリアの家のキリスト》と風俗画《取り持ち女》(左図)。「取り持ち女」は「やり手婆」とも呼ばれ、売春宿の光景を描いたもので、右の女性がお金を受取ろうとしており、男性客の手がもう彼女の胸に触れている、というもの。「取り持ち女」は老女で、いかにもそれらしい表情(卑屈な、またはおもねるような表情)をしています。左手の酒の入ったグラスを片手に持って笑恋文い顔を鑑賞者の方に向けているのは、一説によれば、フェルメールの自画像だとか。皮肉な視線とも言えるでしょう。目玉はやはり、《手紙を書く女》(右図)。白い毛皮のついた黄色の流行の衣装をまとい、手紙を書いている途中で、ふと、こちらに目を向けた、という感じ。髪のリボンや真珠のイヤリングがいかにも金持ちのお嬢様然としています。すこし微笑んでいる表情にも初々しさが感じられます。また、《恋文》(左図)は示唆に富んだ作品で、右手に恋文を持ち、左手にはシターという楽器(シターは恋愛と関係の深いモチーフだとか)を持った女性が召使いの女の方に目を向けています。画面手前には放り出されたスリッパに箒、奥にも洗濯かごがあり、どうやら恋に熱中して家事を疎かにしている様子が描かれているようです。奥の部屋の様子を描いていますが、鏡に映った姿を描いたものとする研究者もいるそうです。確かに、鏡かもわかりません。

こうした風俗画はいろいろな意味が込められていて、同じく17メツーメツー「手紙を読む女」世紀のオランダ画家ハブリエル・メツーの二部作《手紙を書く男》と《手紙を読む女》(図版)が非常に興味深かったです。《手紙を書く男》はハンサムな金持ちの男性(少し女性的)が恋文を書いている様子が描かれ、《手紙を読む女》は、彼から届いた恋文を窓際で女性が読んで(彼女も流行の豪華な服を着ている)います。後景には召使いの女が絵にかかったカーテンを掃除のためか、あけており、そこには荒海が描かれていて、恋の行く末を暗示しているようです。この絵にも片方のスリッパが意味ありげに放り出されています。

この展覧会では、17世紀の代表的なオランダ画家たちの肖像画や神話画、宗教画、風景画、静物画、風俗画が出展され、その最後の部屋にフェルメールの絵が展示されていました。フェルメールの絵はもともと小品が多いこともあり、小さな絵の周りに人だかりができ、鑑賞するのも一苦労でした。それでもオランダ絵画を満喫できました。

sIMG_4242sIMG_4243フェルメール展の前に、あべのハルカスにあるフレンチレストランEO(谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』Eloge de l’Ombreの頭文字で、フランスの有名なシェフ、ベルナール・ロワゾーに師事した山口シェフの店)でランチを頂きました。前菜は鯛のカルパッチョ(刺身くらいの厚さ)の入ったサラダ(左写真)。鯛もおいしかったですが、さつまいものチップが美味!ソースはブロッコリーのソースとオレンジのソースと2種類かかっていまsIMG_4244す。赤いのは赤かぶ。次に「さつまいものふわふわスープ」(右写sIMG_4245真)。小さなガラス容器に、少し泡だてたさつまいものスープが入っていて、コンソメのジュレも舌触りが良く、おいしかったです(写真)。メインはサワラの料理。サワラは半生ということでしたが、皮の部分はカリッと焼けていました(写真)。付け合わせは菜の花に大根。デザートは苺のソルベ(シャーベット:写真)。見た目も春らしい一品でした。今冬は関西では雪が積もることもなく、春が訪れそうです。

 

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