同じく東京に出たついでに、六本木の国立新美術館にルーヴル美術館展を見に行きました(ポスター)。今回のテーマは「肖像芸術」ということで、柩に入っていたエジプトのマスク(右図)や古代ギリシア、ローマ、エトルリアなどの彫像、ルイ14世やナポレオンなどの君主像、女性の肖像画など様々な時代、場所の肖像作品を一堂に会した美術展となっていました。特に感嘆したのは、ルイ13世時代のリシュリュー枢機卿の等身大以上の彫像で、大理石なのに衣装やマントの細かい襞まで彫られていて、圧巻でした。また、本展覧会の目玉でもあるヴェロネーゼの《女性の肖像》通称《美しきナーニ》(左図)は、非常に魅力的で、その豪華な衣装に白い透き通るような肌が生き生きと描かれていました(現在の基準から見ると、かなりふくよかな体型ですが、この当時の美女の理想であったと思われます)。あと、マリー・アントワネットの女性肖像画家ヴィジェ=ルブランの、女性の優しい表情を映しだした絵画やベラスケスのスペイン王妃の肖像など、おなじみの肖像画も多く見受けられました。もう一つ面白かったのが、フランツ・クサファー・メッサーシュミットの《性格表現の頭像》(右図)で、様々な表情をした自分の顔を鏡に映して、それを見ながら彫像にしたとか。ナポレオンにしろ、ルイ14世(特に幼い頃)にしろ、君主の肖像画、彫像は当然のことながら、かなり美化されていました。エジプトのマスクと19世紀の肖像画が同じ部屋にあったり、「母と娘の肖像画」のコーナーでは、母娘が入っている絵画が漠然と集められている感じで、展示のコンセプトがもう一つわからなかったですが、それでもなかなか面白い美術展でした。