村田京子のホームページ – ターナー展

ターナー展東京に行ったついでに損保ジャパン日本興亜美術館に海「ターナー展」を見に行ってきました(ポスター)。ターナーは風景画家で有名で、独特の光や空気感に包まれたその風景画はフランスの印象派に大きな影響を与えたそうです。水彩画がほとんどで、茶色が主体のスコットランドの土地や海景、またイタリアで描いた古代イタリアの世界、聖書の世界、山岳地帯の絵など様々です。その中でも《タインマウス小修道院》(右図)が印象に残りました。一見すると荒波にもまれる帆船が描かれているのですが、後景に蜃気楼のように修道院の廃墟が浮かび上がっていて、幻想風景の趣があります。絵のタイトルも海ではなく、修道院ですし。ゴシック小説(中世のゴシック建築の城や修道院の廃墟で超自然的な現象が起こる物語)の祖とされるウォルポールの『オトラント城の謎』のモデエディンバラルとなっったストロベリー・ヒル・ハウスを建築した同じ建築士が建てたフォントヒル・アベイを描いた絵がターナーにあり、ゴシック小説との深い関係が見出せます。また、ターナーは歴史小説の祖と言われるウォルター・スコットの挿絵も描いていて、文学との関わりが大きい画家と言えるでしょう。もう一つの絵《コールトン・ヒルから見たエディンバラ》(図)は、高台から見たエディンバラの町の様子が描かれ、人々の様々な動きが活写されていて「風景画」なのか「風俗画」になるのか、迷うところです。今回の展覧会は、大きな画布は少なめで、比較的小ぶりな絵が多かったですが、遠くにぼやける色遣いは確かに印象派を思わせるものでありました。損保ジャパンの美術館だけあって、最後の部屋にはかの有名なゴッホの《向日葵》が展示されていました。それほど混んでおらず、ゆっくり絵を鑑賞することができました。

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