村田京子のホームページ – 万作萬斎新春狂言

狂言先日、大阪サンケイホールで行われた「万作萬斎 新春狂言」を見に行ってきました(ポスター)。まず、謡始で萬斎の息子2人の小舞の後、萬斎がレクチャートークとして、今年の演目の説明を洒脱な口調でしてくれました。今年は戌年ということで、それに因んで犬が登場する演目を選んだそうで、二つ目の「政頼」はこれまであまり演じられてこなかった珍しい演目とのこと。まずは「二人大名」。野遊びに出かけた二人の大名が、通りがかりの者を脅かして太刀持ちのお供に仕立てる。しかし太刀を持たされた男は逆に、刀を振りかざして大名を脅し、二人の小刀や上着(素袍)を取り上げ、烏帽子を鶏冠に見立てて鶏の蹴り合いの真似をさせたり、犬の噛み合いをさせたり、起き上がり小法師の真似をさせたりして興じる、というもの。権力関係が逆転するところに狂言の面白みがあるわけですが、特に、衣服などを取り上げられる度に、刀を眼の前にかざされた大名たちが「危ない、危ない」と声を揃えて言うところは笑いが止まりませんでした。また起き上がり小法師の場面も体を左右に揺らした後、くるりと一回転するあたりが面白みがありました。この従者を演じたのが万作でしたが、小柄ながら足の運び、腰の据わり方がさすが「人間国宝」と言われるだけのものがありました。もう一つの「政頼」は、地獄の話で、仏教が栄えて極楽に行く人間が増えて地獄が不景気になり、閻魔大王じきじきに六道の辻まで亡者を迎えに行く、という話。そこにやって来たのが「政頼」という鷹匠で、殺生の罪で地獄に連れて行こうとする閻魔大王に対して、政頼は殺生をしたのは鷹で、自分には罪がないと言い開きをし、鷹狩の説明をします。鷹狩に興味を持った大王が鷹狩の真似ごとをすることになり、そこには着ぐるみの犬が登場する、というもの。鷹匠役が萬斎で、巧みに鷹を飛ばす早業が見ものでした。あっという間の2時間余りでしたが、一つ残念なのはもう少し萬斎のケレン味の効いた動きを見てみたかったと思います。

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