国際バルザックシンポジウムの懇親会は、フレンチレストラン「びすとろぽたじぇ」で行いました。予め、肥田シェフ(写真は料理の説明をするシェフ)、辻調理師学校の山内先生と打
ち合わせをして、バルザックにちなんだ食事ということで、Courtineの著書Balzac à tableを参考にしながら、メニューを考えてもらいました。19世紀では一般的であった、フランス式サーヴィス(第1サーヴィス:ポタージュ、ルルヴェ、アントレ、第2サーヴィス:ロ(焼肉)とアントルメ、第3サーヴィス:デザート)にならったもの(ちなみに、現在の各人に一皿ずつ時系列に供されるコース料理はロシア式サーヴィスとなり、19世紀末にやっと主流となります)。
①ポタージュ2品(写真右):
ポ=ト=フとポタージュ・サン=ジェルマン。ポ=ト=フは「フランス風おでん」ですが、ブイヨンがこくがあって非常においしかったです。ポタージュ・サン=ジェルマンはグリンピースを使ったポタージュ。②オードブル3品:中央の四角い形のものが、ガランティーヌ・ド・ヴォライユ、丸いのがパテ・ド・ラパン、手前と奥がパンにリエット。リエットは『谷間の百合』の主人公フェリックスが幼い頃を回想する場面で、寄宿学校で他の生徒たちは親からの差し入れのトゥーレーヌ地方特産リエットをパンにつけておいしそうに食べているのを、何の差し入れもないフェリック
スが羨ましそうに見る、というくだりに出てきて、非常に印象的です。パテ・ド・ラパンは、本来は「うさぎ」でもリエーヴル(野兎)の方ですが、日本では手に入らないとか。③
ルルヴェ(魚):ソール・ノルマンド(ソールはシタビラメで、ムール貝、本来はザリガニのところ、海老が入っています)。④ロティ:ロティ・ド・ジゴ・ダニョーとプーレ・マランゴ。写真は仔羊の腿肉をローストしたものを切り分けているところ。その薄く切った一切れを白隠元を付け合わせにして頂きました。プーレ・マランゴはナポレオンがマランゴの戦いの折、戦場で鶏肉とあり合わせのもので作
らせたというもの。プライス先生も、フランスで噂には聞いていたが、初めて食べた、と感激しておられました(写真はリード先生、プライス先生、松村先生、博多先生と)。⑤デザート:タルト・オ・ポム、⑥カフェ:写真は山内先生。バルザックは夜中にコーヒーをがぶ飲みし
ながら一瀉千里に筆を走らせたということで有名で、そのバルザックが飲んだとされる豆の割合に似せて、山
内先生が焙煎、コーヒーフィルターで丁寧に一杯ずつ、入れてくれました。使われた豆の一部、モカ・マタリは、紛争地帯イエメンのもので、今後、入ってくるかわから
ないという、貴重なコーヒー豆ということです!フランスでエスプレッソが飲まれるようになったのは、戦後でしかない、といったコーヒーに関
する蘊蓄を伺いながら、コーヒーを味わいましたが、非常にこくのあるおいしいコーヒーでした。ワインは柏木先生が、バルザックの生地ロワール地方で取れたロッシュ・ド・リュヌ・ソーヴィニョンやシャルドネなど赤・白のワインを5種類用意してくれ、バルザック三昧の一日でした(バルザックの食卓(メニュー)、およびワインリスト参照のこと)。
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