村田京子のホームページ – 第21回ジョルジュ・サンド国際シンポジウム
第21回ジョルジュ・サンド国際シンポジウム
21e Colloque International George Sand
George Sand et le monde des objets
開催日: 2017年6月19日~22日
場所 クレルモン=フェラン=オーベルニュ大学、ノアン=ヴィック
コーディネーター Pascale Auraix-Jonchière クレルモン=フェラン=オーベルニュ大学教授
《案内》第21回ジョルジュ・サンド国際シンポジウムが今年はフランス、クレルモン=フェラン=オーベルニュ大学で19日、20日、場所を変えて21日、22日はサンドの故郷ノアンで計4日間、開催の予定です。今回もフランスだけではなくアメリカ、カナダ、ドイツ、イタリア、日本など様々な国のサンド研究者40名以上が一堂に会し、研究発表を行います。今回は「ジョルジュ・サンドとモノ(objets)の世界」というタイトルで小説の中に登場するモノや、ノアンの館のサンドとゆかりのあるモノなど、モノを中心とする様々な分析が展開されることになっています。さらに、シンポジウムの後にはサンドの恋人であったショパンのコンサートやサンドの息子で画家のモーリス・サンドの展覧会なども準備されていて、サンドが生きた19世紀当時の雰囲気を味わうことができる趣向となっています。詳細はプログラム(Programme )を参照のこと。

《報告》連日、気温が37度まで上がるという猛暑の中(しかも、冷房なし)、朝9時から夕方6時半まで研究発表、ディスカッションが行われ、かなりハードなシンポジウムとなりました(写真左は主催者側のあいさつの場面)。暑さにも関わらず、初日(6月19日)の参加者は100名近くの大盛況でした。私の発表は初日の午後、分科会2での発表で、司会者は前回のシンポジウム主催者のローラ・コロンボ ヴェローナ大学教授(写真右)。私は『ジャンヌ』の同名の主人公が彫像にしばしば喩えられているのに注目し、「彫像」の象徴的な意味をジェンダーの視点から探りました。イザベル・ナジンスキー先生が ご発表の中で、現在のフランス語には patrimoine (世襲財産:「男から男に相続される財産」が元の意味)という語しかなく(「世界遺産」もpatrimoine mondialeという)、matrimoine (女性から女性へと伝えられる財産)という言葉が消えてしまっている(15世紀の女性作家Christine Pizanが使っていた)が、「女性から女性へ伝えられていく才能」という意味の matrimoine を復活する必要がある、と強調されていましたが、『ジャンヌ』の場合、ジャンヌの母親からジャンヌへと伝授される自然の知恵 (connaissance) が描かれており、サンドが matrimoine を目指していたことがわかります。19日のシンポジウム終了後は、クレルモン=フェランの中心街にあるシックなレストランでの夕食に招待され、おいしい食事を味わいました。20日は午前中の発表の後、午後からはチャーターした大型バスでラ・シャートルへ(1時間余りの旅)。車窓は見渡す限り、田園地帯でフランスが農業国であることが実感できます。ラ・シャートルのホテルから車で30分くらい(地方に来ると、車がないと移動が難しく、車で来ている参加者に同乗させててもらいました)のChassignolesでコンサートに招待されました。会場は昔の大きな納屋を改造したところで、サンドと親しかったオペラ歌手で作曲家でもあるポーリーヌ・ヴィアルドと、その姉で当時、一世を風靡した同じくオペラ歌手マリー・ブランの曲をTammy Hensrud, Korliss Uecker さんの二人のオペラ歌手が歌ってくれました(写真左)。さらに、ショパンの「革命」や「ファンタジア」、ベートーベンの「月光」を Cyril Huvé氏が3つのピアノ(プレイエル、スタンウェイなど)で弾き分けてくれました。シンポジウム3日目は午前中、サンドが住んでいたノアンの館を学芸員さんの説明を聞きながら見学。午後からサンドの館の敷地内にあるコンサート会場(写真右:ここも納屋を改造したもので、ショパンコンサートなどが開催されるとか)でシンポジウムが行われました(ここもかなり暑く、皆、バテ気味!)。4日目はシャトー・ダルスでモーリス・サンドの展覧会を見た後、ホールをシンポジウム会場として10時から5時過ぎまでシンポジウムが行われ、6時前に無事、閉会となりました。スケジュールがタイトでしたが、サンドやショパンが暮らした場所で、濃密な時間を過ごすことができました。

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