村田京子のホームページ – 「大エルミタージュ美術館」展と「ファッションとアート」展

sファッション横浜に行ったついでに横浜美術館で開催されている「ファッションとアート 麗しき東西交流展」(ポスター)を見てきました。1859年の開港以来、横浜は西洋文化を受け入れ、日本文化を送りだす玄関口としての役割を担ってきました。この展覧会は「19世紀後半から20世紀前半のファッションと美術に焦点を当て、横浜を一つの拠点とする東西の文化交流が、人々の生活や美意識にどのような影響を及ぼしたのかを紹介」するものです。浮世絵がヨーロッパに入って、絵画やファッションに大きな影響を及ぼしましたが、日本の着物を室内着のガウンやコートとして着るのが流行ったようです(やはり、帯をきちんと締めるのはかなり難しかったのと、体を締め付けるので敬遠され、むしろ、着物をふわっとドレスの上に羽織るのがおしゃれだったようです)。宮川香山のキッチュな花瓶や豪華な色彩の伊万里焼など、いかにも派手好きの西洋人が好みそうな品が輸出用に作られました。逆に、オートクチュールの祖、ウォルトなども日本や中国の衣装に影響を受けたコートをデザインしていて、相互の影響関係がわかって面白いものでした。

また、東京の六本木の森美術館では「大エルミタージュ美術館展」(ポスター)が開催されsエルミタージュていたので、見に行ってきました。18世紀の女帝エカテリーナ2世が取得したコレクションから始まり、歴代皇帝が国家の威信をかけて美術品を収集したエルミタージュ美術館は今では1万7千点におよぶ美術品の宝庫となっています。今回はそのうち、ティツィアーノなど16世紀ルネサンスから17世紀のバロック美術、レンブラントをはじめとするオランダ派の風俗画、シャルダンやフラゴナールなど18世紀ロココの代表作など85点が展示されています。特に印象に残ったのは、ポスターにもあるクラーナハの《リンゴの木の下の聖母子》。幼子イエスの手にあるリンゴは、sスネイデルスエデンの園のリンゴで、人類の贖罪を担うイエス・キリストを暗示し、右手のパンは1つのパンを5000人に分け与えた「奇跡のパン」を意味しているそうです。クラーナハにしては、マリアの顔はそれほど細長くなく、艶やかな金髪といい、生身の女性のイメージで描かれています。幼子イエスもどこにでもいる可愛い赤ちゃんで、人間的な聖母子像だと思いました。また、ルーベンスの工房を手伝った動物画家フランス・スネイデルスの《鳥のコンサート》(左図)にも非常に大きな印象を受けました。136,5×240 cmという巨大なカンヴァスに様々な鳥が躍動的に描かれており、あたかも鳥の集会を行っているかのようで面白かったです。森美術館ではマーベル展も別に開催され、そちらの方も朝からずらっと観客が並んでいて大盛況。近くの国立新美術館ではミュシャ展もやっていましたが、ものすごい人の列で、体力・気力的に無理だと諦めました。しかし、東京は面白そうな展覧会があちこちで開催されていて、大阪はそれに比べると、文化貧困地区だと改めて実感しながら帰途につきました。

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