先日、大阪の国立国際美術館に「クラーナハ展」を見に行ってきました(ポスター)。16世紀ドイツ、ヴィッテンベルクの宮廷画家として活躍した画家で、マルティン・ルターにはじまる宗教改革にも関与した人で、ルターの肖像画も幾つか描いています。しかし、何と言ってもクラーナハはサロメやユディット、ルクレティアなど聖書や神話、伝説の女性たちを描いたことで有名で、華奢で少女のような肢体(手足が非常に長い)を持つクラーナハの女性たちは冷たい硬質の微笑を浮かべて泰然としながらも艶っぽい、何とも言えないエロティシズムを醸しだしています。ポスターのヴィーナスは、豪華な宝石、ネックレスやヘアバンドを身につけ、その視線は鑑賞者の視線と交わることなく、自己の内に沈潜しているように見えます。また、有名な《ホロフェルネスの首を持つユディット》(図右)は、16世紀当時の豪華な衣装をまとったユディットがまだ生きているかのようなホロフェルネスの首に手をかけながらもその視線は首にも鑑賞者にも向けられず、凛とした雰囲気を漂わせながらもその恐ろしさに鑑賞者は立ち竦んでしまう、というものでしょうか。また《ヘラクレスとオンファレ》(図左下)はヘラクレスが女の格好をさせられ、糸巻きを持たされて女たちにからかわれている(ヘラクレスも嫌がる様子もなく、むしろ女たちに囲まれて喜んでいるような)様子が面白く描かれています。美術館に行く前に、ランチは近くのフランスレストラン「ヴァリエ」で食べました。どれもおいしい料理でしたが、特に最初に出てきた前菜(ヨコワマグロ、白隠元のムース、アボガド、マーシュサラダ:写真左)とフリュイ・ド・メール(写真右)が色どりも美しかったです。