村田京子のホームページ – メアリ・カサット展

s%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc京都国立近代美術館に「メアリ・カサット展」を見に行ってきました(ポスター)。カサットは19世紀後半の印象派の画家で、アメリカの裕福な家庭に育った彼女が単身、パリに渡り、画家修業をした女性です。1868年に彼女の絵《マンドリン奏者》がサロンに入選するものの、あまり評価されずにいたのが、エドガー・ドガの絵に出会ってドガの影響を受け、新しい絵画表現に目覚めます。ポスターの絵《桟敷席にて》(1878)は、彼女の代表作で、当時流行の黒いドレスに身を包み、オペラグラスで舞台を見つめる女性が描かれています。この絵で面白いのは、その彼女にオペラグラスを向ける男性が絵の後景に描かれていることで、当時、女性は劇場でも「見られる対象」であったことを皮肉な形で描いています。カサットは1890年代から母と子どもの姿を描いた絵を数多く描き、「母子像の画家」と称されました。%e3%82%ab%e3%82%b5%e3%83%83%e3%83%88その一つの《果実をとろうする子ども》(1893)(左図)では、母親がリンゴの木の枝を子どもに優しく引き寄せてあげています。このりんごは「知恵の実」を象徴し、%e3%82%ab%e3%82%b5%e3%83%83%e3%83%88%ef%bc%92「教育における母親像」をこの作品に託したとされています。また、背景が平面的に描かれているのは、日本の浮世絵の影響だと言われています。喜多川歌麿の合わせ鏡のモチーフの影響を受けた絵画もありました。さらに《沐浴する女性》(1890-91)(右図)は、浮世絵の影響が非常によく分かる絵で、女性の身体の素晴らしいデッサンはドガが羨んだとか。女性の裸体像でも男性画家の絵と違い、エロティックというよりは何か凛とした強さを感じます。1893年のシカゴ万博では「女性館」の壁画制作として「新しい女性たち」の姿を描くなど、彼女は自由で自立した人生を歩いた、数少ない女性画家であったと言えるでしょう。しかしカサット自身は生涯独身で子どもがいなかったのに、母子像を多く描いたのはどのような気持ちによるのか、知りたいものです。

simg_2723絵を見る前に祇園のイタリアレストラン「スコルピオーネ」(写真)で友人と一緒にランチを楽しみました。町屋を改造したお店で格子戸を開くと石畳の道があり、玄関になっています。前菜(写真右)―鮮魚のカルパッチョ―は見た目もきれいでおいしく、メインの和牛肉の湯葉巻き揚げ(写真中央)も工夫がなされていました(ソースが少し辛目で赤ワインが欲しくなりましたsimg_2719)。これから本格的な紅葉の季節になるので、お店は予約で一simg_2721杯の状態とのことです。

 

 

 

 

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