村田京子のホームページ – 宮川香山展

sポスター大阪市立東洋陶磁美術館に陶磁器作家、宮川香山の没後sねこ100年特別展(ポスター)を見に行ってきました。香山は江戸時代末期に京都の陶工の家に生まれ、仁清の陶磁器の製法を学び、幕府ご用達となります。しかし明治時代になると、彼は意を決して貿易が盛んな横浜に移り、外国向けの陶磁器制作を目指すようになります。そこで彼が生み出したのが「高浮彫」(陶器の表面を彫刻または細工した造形物で装飾する技法)で、鶉・鷹・鳩などの鳥、桜・蓮・葡萄などの植物、猫・猿・熊・鼠・蛙などの動物、扇など、様々なモチーフが壺や花瓶の上で立体的に浮き上がるような仕組みになっています。香山の作品は「眞葛焼」として売り出され、フィラデルフィア万国博覧会(1876)、パリ万国博覧会(1878)でsカニ受賞したことで、海外で絶大な人気を博したそうです。その代表的な作品が「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」(写真右)で、眠っていた猫が目を覚ました時の様子がリアルに表現されています。sトリ猫の口元を良く見ると、小さな白い歯と赤い舌もちゃんとついており、白い毛並みもつやつやしていて、これが陶器とは思えないほどです。また、蟹2匹が重なっている「褐釉高浮彫蟹花瓶」(写真中央)は、何ともリアルで少しグロテスクでもありますが、迫力満点です。「高浮彫」焼は、「高浮彫柿ニ鳩花瓶」(写真右下)のように、花瓶だけでも華やかなのに、さらに立体的な鳩や柿の実がついている、という装飾過多のキッチュな感じがややします。しかし、どうやって窯で焼いたの?と不思議に思うほどで技量がいかに優れているかがわかります。「わび」「さび」を尊ぶsあじさい日本と違い、アメリカやヨーロッパでは手放しで称賛された様子が目に浮かぶようです。香山はさらにいろいろな製法を探求したそうで、磁器の「釉下彩紫陽花図花瓶」(写真左下」の白と紫の紫陽花の花は透明感のある美しさで、光を当てると花びらの部分が透けて見える、というもの。大変美しい花瓶でした! 大成した後でも、さらに新しいものを探求する香山の芸術家魂に脱帽しました。

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