村田京子のホームページ – 京舞井上流「舞さらえ」

同僚が京舞井上流(祇園の芸妓さんや舞妓さんが習い、「都おどり」でも披露される特色のある日本舞踊)の名取で、その同僚の誘いで先日、日本国宝に認定された、五世家元井上八千代さんのお弟子さんたちのおさらい会(「舞さらえ」)に寄せてもらいました。いつも年始年末に芸妓さんたちが井上さんのお宅にあいさつに来る様子がテレビで映りますが、そのお家の舞台で行われるので、今回で3回目とはいえ、格子戸をあける時は期待感でわくわくしながらも緊張します。師匠の八千代さんはいつも舞台に面した畳(絨毯がひいてある)の真ん中に座って、お弟子さんたちの踊りを身振り手振りでなぞらえながら見ておられ、その肩越しに見る姿(写真左)は、手や肩の動きが滑らかで美しく、本当に魅了されます。お弟子さんとしては逆に、師匠を前にして緊張のあまり、間違えるのではないかと恐怖に襲われることでしょう(実際、名取の方々といえども扇子を持つ手が少し震えていました)。毎年、浴衣を新調するそうで、今年は「とんぼ」の図柄でした(帯はそれぞれ自前のものだそうです)。皆さん、さすがに軽やかな足取り、腰でしっかり回る姿がぴったり決まっていて、手の先から足の先まで神経が行き届いていました。同僚の踊りは今年は「きぎす」(雉の意味とか)で、両足を小刻みに動かしながら回るところ、さらに扇の要に指をかけてぐるぐる回す(これは、下手をすると手から離れて飛んで行ってしまう恐れがあるそうです。ちなみに扇は能の人間国宝の方が使ったものとか)、イナバウアーのように背中を反らしてポーズするなど、見どころが満載でした(写真右)。

夜は同僚も含めて友人たちと近くの割烹料理「さか本」で夕食を食べました。最初は小さな器に入った「おかゆ」で暖かいもてなし。どの料理もおいしかったですが(前菜には鰻を胡瓜で巻いたもの、甘鯛のちまき:写真下左)、夏の京都ということでやはり鱧がメインともいえ、「お造り」として、少し火に炙った鱧および「鱧ソーメン」、最後に「鱧寿司」(写真下右)が出ました。小さなお店ですが、窓越しには白川が流れ、お花見の季節にはなかなか予約が取れないそうです。祇園のお店らしく、芸妓さんたちの団扇が飾ってありました。左正面を向いているのが店のご主人(写真下)。炎天下の京都でしたが、おかげで京都らしい一日を過ごすことができました。

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