村田京子のホームページ – ヴェローナの町とオペラ『アイーダ』

ヴェローナ大学でのシンポジウムの折に、ヴェローナの町の観光をしました。まず、ヴェローナと言えばシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台となったところで、「ジュリエッタの家」というのがあります(シェイクスピア自身はヴェローナに一度も来ていないようですが)。旧市街の中心、エルベ広場の近くの建物で、入口のアーチ型の壁にはぎっしり落書き(自分の名前と恋人の名前を書いてある)に覆われていました。その奥にジュリエッタの像(写真左)があり、その乳房に触れると恋愛が成就するそうで、多くの若者たちが列をなして像に触っていました。ロミオがよじ登ったバルコニーも一応ありますが、少し小さい気がしました。さらに町はずれには「ジュリエッタの墓」というのもあり、空の石柩がおいてありました(ただ、屋敷の雰囲気は花が咲き誇る中庭があってなかなかロマンチックでした)。次にカステルヴェッキオを訪れました。ここは14世紀に建てられたスカラ家の居城で、現在は14世紀~18世紀のヴェローナ派の絵画が展示されている美術館となっています。聖母子像がほとんどで、さすがカトリックの国イタリアだと関心しました。お城からは、のどかな風景が広がっていました(写真右)。

ヴェローナはさらに、アレーナ(紀元1世紀に建造された円形闘技場)で野外オペラが開催されるので有名で、ちょうどヴェローナ滞在中の土曜の晩に「アイーダ」(ヴェルディ作曲、フランコ・ゼフィッレリ演出)があり、見てきました。夜9時から上演の予定でしたが、8時頃から土砂降りの雷雨となり、果たして上演されるのか不安な面持ちでホテルで待機。幸い、雨は10時頃には止み、10時過ぎに開演となりました。観客席は雨でびしょぬれでしたが、劇場の方でタオルで拭いてまわる、といったこともなく、観客それぞれが椅子を拭いて座る、というものでした。観客も雨にも関わらず、華やかに着飾ってデコルテのロングドレスやスーツ姿の人も多く見受けられました。舞台装置は豪華で、エジプトを舞台とするこのオペラでは巨大なピラミッドにスフィンクス像(写真下)、ピラミッドの中心が開いて人物が登場、その人数も大勢でバレエも演じられ、とりわけ有名な第二幕の「凱旋行進曲」は圧巻でした。観客1万2千人の野外劇場でマイクなしにオペラの曲を歌うのは歌手にとっても大変なことだと思います(かの有名なマリア・カラスもこの劇場で歌うのを恐れたとか)。今回のアイーダ役の女性は細身の小柄な人で、ソプラノの声が少し弱い気がし、それに対して敵役のエジプト王の娘の方が衣装も豪華、メゾ・ソプラノの声がよく響いて主役より印象に残りました。ただ夜中12時を過ぎると冷え込みが厳しく、風邪を引きそうになったので、残りの第三幕、四幕は見ずにホテルに戻りました(オペラが終わったのは1時過ぎだったそうです)。次回は寒さ対策を十分して野外オペラに臨みたいと思います。

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