村田京子のホームページ – シャンソン研究会
シャンソン研究会
第24回シャンソン研究会
開催日: 2014年11月8日(土)
場所 信州大学
コーディネーター 吉田正明信州大学教授
《案内》次のようなプログラムで研究発表が行われる予定です。シャンソンに関心のある方はどなたでも参加できますので、是非ご参加下さい。

1)14:10~15:00  戸板律子氏(広島大学非常勤講師)  題 目:「シャンソンの中のヒロシマ」

2)15:05~15:55  高岡優希氏(大阪大学非常勤講師)  題 目:「ヒロシマからフクシマへ  -核を巡るシャンソンたち- 」

司会者:鎌田隆行氏(信州大学准教授)

3)16:10~17:00  村田京子氏(大阪府立大学教授)  題 目:「フランス語授業におけるシャンソンの活用」

司会者:三木原浩史氏(神戸大学名誉教授)

4)17:05~17:55  中祢勝美氏(天理大学教授)  題 目:「バルバラの『ゲッティンゲン』-「仏独和解の歌」の成立をめぐって」

司会者:吉田正明氏

《報告》京都から名古屋まで新幹線、名古屋からは「しなのビュー」特急で2時間かけて松本駅に到着しました。信州大学へはタクシーで10分でしたが、大学構内の木々はすでに紅葉していました。まずは先日の広島大学での仏文学会ワークショップで発表された戸板さん、高岡さんからヒロシマ、ナガサキ、フクシマにまつわるシャンソンの紹介がありました。ヒロシマのイメージとしては、映画Hirosima mon amourの影響が大きいということ、その中でもColette Magnyのbura buraという曲(被爆者を歌ったもの)のインパクトが大きかったです。また、Ludwig von 88というロックグループのミニアルバムHiroshima 50ans d'inconscienceは、32頁もの原爆に関する克明な資料がつき、原爆が開発され、エノラ・ゲイという爆撃機が爆弾を落とす場面、さらにその時の広島市民の様子、被爆者の状態を描いた6曲にわたるもので、途中に井伏鱒二の小説をもとにした映画「黒い雨」の一節が挿入されるなど、原爆へのフランス人の関心の高さに驚きました。高岡さんの発表では、冷戦時代からシラク大統領のムルロワ環礁での核実験、2001年のアメリカでの同時多発テロ後のテロの脅威など、政治・社会情勢に連動したシャンソンが生まれていることが明らかになりました。ヒロシマ、フクシマという地名は世界中に知れ渡り、核の恐ろしさを示す代名詞となっていることは本当に悲しく、私たち日本人は決して忘れてはいけないという思いを新たにしました。

次に、村田はフランス語の授業でシャンソンを単に聞かせるだけではなく、発音の聞き取りや文法(動詞の活用など)、語彙の習得に役立てるために独自に作成したシャンソンの練習問題を紹介しました。実際に参加者に問題をやってもらいましたが、皆さん、真剣に取り組んで下さいました。シャンソンを授業に使うのは、楽しくフランス語を学ぶためであり、シャンソンを通じてフランス・フランス語に興味を持ってくれる学生が少しでも増えることを願っています。反省点としては、カセットテープを使ったため、頭出しに時間がかかり、発表に手間取ってしまったことで、やはりCD-ROMに落とすべきでした。最後に、中祢さんが、バルバラの『ゲッティンゲン』という曲が現在、「仏独和解のキャンペーンソング」となっていること、そしてドイツ人のペンカートという女性がゲッティンゲンでのバルバラのリサイタルを実現し、この折にバルバラが作ったのが『ゲッティンゲン』という曲であったことを説明され、ドイツ語とフランス語の歌詞の混じったこの曲を聞かせてくれました。ドイツ文学がご専門ということですが、資料に綿密にあたられた貴重な発表でした。4人の発表の後の懇親会では、ワイン片手にシャンソンやオペラ談義に盛り上がりました。

発表内容は『シャンソン・フランセーズ』第5号に掲載予定です。

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