いつもの「浪漫」にランチを取りに行ってきました。今回はまず、長芋をすったものを卵の白身を泡立てたものとゼラチン、寒天で豆腐状にしたものが、焼きなすの上に乗った品(写真左)から始まりました。器も涼しげな水色のガラス鉢で、初夏を感じさせます。次に鮪の漬けのにぎり、お吸い物は鱧と金時草(写真右)。鱧は骨切りが素晴らしく(包丁を45度の角度にして細かく音を立てずに切っていくそうです)、口に入れるとふわっと溶けてしまい様な感覚。出汁は昆布と鰹節で醤油はほとんど入っておらず、出汁の味だけですっきりとした味わい。八寸(写真左下)はジュレの上に青梅、レンコンで少し酸っぱめの夏ミカンを挟んだもの、生麩の中によもぎが入ったもの、じゅん菜、そして黒蕨の上に湯葉を味噌で和えたもの。どれも丁寧に作られていました。次に鱧の身を備長炭の火でさっとあぶったものと鱧の胆(写真右下)をたで酢でいただきました。やはり鱧の身が何とも柔らかい歯触りで、炭で炙った皮が香ばしい!6月の献立のメインは実は鮎の塩焼きだったのですが、今朝届いた生きた鮎を水槽に入れて泳がせていた時、何かの拍子に鮎が水槽のガラスに当たって痛んだそうで、急きょ、鮎をやめて鱧にメニューを変更したそうです。私たちが普段食べる鮎はもちろん、すでに死んでいるものを魚屋で買ってきて調理するので、多分、今日の鮎を食べても活きのいい鮎との違いはわからなかったでしょうが、プロとしては客に出してはいけない、という大将の矜持があるようです。しかし、鱧、さすが骨切りが抜群なのでよそでは食べた事のないおいしさでした。次に新じゃがいものから揚げを添えた豚の角煮(写真左)。豚肉は焼酎で混ぜたおからに包み、強火で8時間蒸した後に味付けするそうで、お箸で切れるほど柔らかいものでした。炊きたてのご飯と泉州の水なす、それと白髪ソーメンと言われる細いソーメンの入った坦々麺風のお汁(写真右)。デザートは濃厚牛乳のアイスクリーム(写真下)、上には青大豆を擦ったもの、黒蜜がかけられたもので、非常に濃密なお味でした。いつもながら心のこもった料理と大将との会話を他のお客さんと一緒に楽しみました。