村田京子のホームページ – 女性作家を読む会(日仏女性研究学会)
女性作家を読む会(日仏女性研究学会)
関西女性作家を読む会
開催日: 11月23日(金)14時~16時30分
場所 大阪府立大学なかもずキャンパスA15棟3階324演習室
コーディネーター 吉川佳英子、村田京子
《案内》 2012年度「関西女性作家を読む会」を下記の通り、開催いたします。関心のおありの方は是非、ご参加下さい。
マルスリーヌ・デボルドの肖像画(コンスタン・デボルド)
発表者:村田京子 「マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールの『ある画家のアトリエ』における女性画家像」


マ ルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールは、19世紀フランスにおける優れた女性詩人として高く評価されてきました。しかも、当時の女性作家たちはサ ンドを 筆頭に「ブルーストッキング」と呼ばれて男性作家の批判の対象となったのとは対照的に、デボルド=ヴァルモールは彼らにとって例外的な存在で、多くの男性 詩人が彼女を「偉大な詩人」として高く評価しています。

彼女は詩の他に小説や子ども向けのコントも手がけています。本発表では、これまで あまり取り上げら れてこなかった彼女の小説に焦点を当ててみたいと思います。とりわけ、1833年に出版した『ある画家のアトリエ』は彼女の最高作とみなされています。副 題に「私生活情景」というタイトルがついていることもあり、バルザックの『私生活情景』とも関連させ、画家を扱ったバルザックの同時期の作品を比較するこ とで、女性作家の描くアトリエとその女性画家像を検証していきます。

《報告》午前中の雨はやんだものの、寒い中、「女性作家を読む会」の会員6名の方に集まって頂きました(東京からもわざわざ西尾治子先生が来て下さいました)。約1時間半の発表の後、質疑応答が活発に行われました。発表では、デボルド=ヴァルモール=女主人公オンディーヌが19世紀当時の男性詩人・作家たちが抱く「女らしさ」を自ら引きうけながら、「芸術創造の主体」としての自己を確立している姿を浮き彫りにいたしました。また、19世紀には画家のアトリエを描いた絵画が多くあり、絵画と文学作品の中で描かれるアトリエを比較検証することで新たな視点が見いだせるのではないかと思います。マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールは詩人として有名ですが、その小説はあまり知られていないこと、そして現在、フランス国立図書館のGallicaでそのテクストが見れるものの、大部のためになかなか最後まで読み切れないというのが皆さんの感想でした。1833年の初版以来再版のなかった『ある画家のアトリエ』は、1992年にMiroirs (Lille)から全テクストが出版されましたが、これも現在は絶版となっています。こうした歴史に埋もれた作品を発掘する必要があると実感いたしました。

なお、村田の発表原稿は『人間科学:大阪府立大学紀要』8号(2013年3月刊行)に掲載いたします。

<研究会報告> 『女性情報ファイル』No.112(2012年12月)

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