村田京子のホームページ – 大学院

博士前期課程の授業ではこれまで、フランスの文学・美術に関するフランス語文献を講読形式で読み、内容の理解を深めると同時に、修士論文のための参考文献の探し方、論の展開の仕方などを指導してきました。指導した学生の修士論文のタイトルは①「装飾美学の観点から見たシャヴァンヌの可能性―1860年代の作品をめぐって―」:19世紀末のフランスの画家ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの壁画に関するもの、②「ジョルジュ・サンド 《言葉》の物語としての『モープラ』」:サンドの『モープラ』において、主人公の青年が「野蛮」な状態から教育によって言葉を獲得することで「文明人」に変貌していく過程を探ると同時に、「民衆」の代表者であるパシアンスの持つ予言的な言葉の力をフランス革命と結び付けて考察したもの。③「プロスペル・メリメ『カルメン』における男性像」:カルメンと比べて、これまであまり注目されなかった『カルメン』における男性像に焦点を当てたもの。19世紀フランスにおける「男らしさ」の特徴をアラン・コルバンやモッセの著作に基づいて抽出し、「男らしさ」を体現するホセと、その「対抗的タイプ」としてカルメンの夫でジブシーのガルシヤを対照させて分析。また、ホセの「宿命の男」や異国趣味(エグゾチスム)との関連、そして『コロンバ』の主人公オルソとの比較によってメリメの男性像を探るもの。

授業では、とりわけジェンダーの視点から文学作品を考察する内容(ペロー童話、グリム童話をジェンダーの視点から読み直す、「宿命の女」をテーマにしたもの、など)や、フランス語文献に限らず、イギリス文学作品の分析を通してホモソーシャル理論を打ち立てたセジウィックの『男たちの絆』などの翻訳書を使って院生と一緒に討論を重ねながら考察してきました。

博士後期課程の授業では、個々の博士論文のテーマに沿った文献を読み、博士論文のプランの立て方、参考文献、論の展開の仕方などを指導。指導した学生が博士論文「ジョルジュ・サンドにおける自己形成の理想―『モープラ』『ナノン』を中心に」を2019年度に提出し、博士号を獲得しました。

2020年3月31日に大阪府立大学を定年退職いたしました。現在は、学生指導は行っていませんが、研究会等で若い研究者とこれまでと同様に、交流を深めていきたいと思っています。

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